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倉敷「ブラタモリ」こぼれ話(中)

 “街歩きの達人”タモリさんがブラブラ歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る「ブラタモリ」。筆者はNHKディレクターだった平成29(2017)年6月に、倉敷の回を制作した。番組の最後にタモリさんを案内したのは、城壁を模した形の大原美術館の分館だった。倉敷の町を近代化・工業化の波から守る意志がこの建築に込められていると感じてもらい、全国でも画期的な昭和43年の町並み保存条例(美観地区条例)制定につながると結んだ。

 県外に行くと岡山は知らなくても倉敷は知っているという人に多く出会う。「倉敷」が持つ“白壁の歴史的な町並み”のイメージが一層知名度を引き上げるのであろう。しかし、それが住民の協力のもと成り立っていることも番組の取材で実感した。伝統的なあの家々一軒一軒には住んでいる人がいて、日々の生活が繰り広げられているのである。筆者は全国の古い家並みが残る町を多数訪ねているが、昼間はまだ食堂や土産物など観光目的の店舗として使われていても夜になると明かりが消えて無人になる場所も多い。そんななか倉敷は、「美観地区」といわれる約20ヘクタールの範囲内の、古い物では江戸期の家でさえ、そこで暮らしている人がいる。それが大きな特徴ではなかろうか。

 「ブラタモリ」放送の翌々年、...
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(2024年01月19日 14時00分 更新)

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