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ギャンブル依存症

 大学に入って友人に誘われ、パチンコをしたのが最初だった。就職後もやめられず、消費者金融を利用して1年半で借金は150万円になった―。40代男性の体験だ▼内閣官房のホームページに「ギャンブル依存症」で苦しんだ多くの当事者の体験談が載っている。きっかけは特別なことではない。「簡単にのめり込んでしまうリスクを誰も教えてくれない」。当事者の訴えが切ない▼ギャンブル依存症が改めて注目されている。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳による違法賭博がきっかけだ。借金が桁違いなのは別としても、賭け事がやめられずに借金が膨らみ、周囲にうそをつき、犯罪に手を染めるのは他の当事者の体験と重なる▼この依存症は精神疾患の一つで、日本でも4年前から保険診療の適用対象になった。懸念されるのはスマートフォンでできるネットカジノの利用者が増えていることだ▼「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)に昨年寄せられたネットカジノの相談件数は、新型コロナウイルス感染拡大前の12倍になった。背景にはコロナ禍で在宅時間が増えたことがあるようだ。高校生に関する相談や、借金返済のために「闇バイト」に勧誘された事例もあったという▼国による実態調査も遅れている。調査と啓発を急がなければ被害者がさらに増えていく。

(2024年04月17日 08時00分 更新)

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