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プラ資源の川上問題

 これは可燃、こっちはプラ、と家庭ごみの分別を始めてもうすぐ2カ月。今春、岡山市で始まった「プラスチック資源一括回収」に取り組んでいる▼驚くのはその量だ。お菓子をつまめば個包装が卓上に積み上がる。買い物をした日は野菜をくるむ透明フィルムや洗剤の詰め替え容器でごみ箱が満杯に。ざっと見ても、1週間に捨てた物の4割は占めるだろう▼便利な暮らしがプラという素材に支えられていることを実感しつつ、いや、でも多過ぎやしないかと不安が頭をもたげてくる。ただの「ごみ」から「資源」に格上げされて、再利用が進むのは喜ばしいけれど…▼回収されず海に流れ出たプラが微粒子や、さらに細かいナノ粒子に砕けて世界の隅々まで汚染している現状が知られるようになった。日本人の血液、富士山上の雲などからも見つかっているから人ごとではない▼問題は、こうした粒子に化学物質を吸着する性質がある点という。生物への影響は未知数。目下、汚染対策の国際条約作りへ各国の政府が協議中だが、手遅れになる前に生産量自体を減らすべきだとの声は強い▼企業が製品を作り、消費者が使い、後はリサイクルする。そんな流れを充実させながら、プラ利用の“蛇口”を絞っていくよう意識の変化も必要だ。一市民ができることはわずかでも、挑戦しない手はない。

(2024年04月27日 08時00分 更新)

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