遍光山 蓮華院 千手寺(へんこうざん れんげいん せんじゅじ)
地場大師八十八カ所霊場で有名な旧京都御室本山直末一等格院<歴史>報恩大師開山と伝わる高野山真言宗の古刹 岡山市の西側、岡山平野を見渡す丘陵に鎮座する高野山真言宗の古刹。寺に伝わる「遍光山千手寺縁起之記」によると、752(天平勝宝4)年、報恩大師によって開山されたという。以来、栄枯盛衰を繰り返しながら法灯を守ってきた。1326(嘉暦元)年に宥範法印によって復興。1585(天正13)年、宗覚僧都によって開山当時のように再興がなされた。その後仁和寺の末寺となり、京都本山直末の一等格院の寺格を有する。第二次大戦後、高野山真言宗に転派して現在に至る。今も千手寺の近隣には千蔵坊と大蔵坊という2つの坊舎跡が残されており、かつて大きな伽藍を有していたことがしのばれる。 ご本尊は千手観世音菩薩で、行基の作と伝わる。また不動明王、毘沙門天も、33年に一度開帳される秘仏として祀られている。<見どころ>今も巡拝が盛んな地場大師八十八カ所霊場 同寺の地場大師八十八カ所霊場は、四国の弘法大師八十八カ所霊場(本四国霊場)を勧請したもの。岡山県内の八十八カ所霊場の中でも古いものであり、1784(天明4)年の弘法大師九百五十年御遠忌法要の際の開創とされている。四国への巡拝が容易でなかった当時、弘法大師の恩徳を慕う地域の人々が喜捨して建立したものだ。近隣の旧4村を四国に見立てて配置されているのがこの霊場の特色で、よく本四国霊場の形を伝えている。修理、再建が今日まで続けられており、一周するのに半日から一日近くかかるが、今も熱心な巡拝者を集めている。 同寺の山門は2016(平成28)年に新築したばかりで美しい。境内は整備が行き届いており、本堂のほか、客殿、鐘楼堂、大師堂などが並んでいる。 大師堂は1655~1658年(明暦年間)に、岡山藩主・池田光政が金剛山遍照寺法界院(岡山市北区)から移転したものと伝わる。建築様式としては禅宗様で、弘法大師を祀っており、堂宇の近くには修行大師像が立つ。 大師堂を囲むように四国八十八カ所の砂を収めた踏み石がある。踏みながらお堂の周りを一周すると、岡山平野と吉備の中山を一望することができ、参拝者にも好評だ。 年間行事としては、釈迦の誕生を祝う「花まつり」が地域の春の風物詩になっている。また2018(平成30)年5月5日には、11年に一度の行事である稚児行列が子どもの健やかな成長を祈って行われた。 弘法大師空海の定めた所依の経典「大日経」と「金剛頂経」を学ぶための講伝会「密教志塾」も開いている。一般の方も参加できるので、興味がある方は尋ねてみてほしい。ご案内住所/〒701-0165 岡山市北区大内田581TEL/086-293-0713HPアドレス/http://senjyuji.web.fc2.com/交通/JR山陽本線・庭瀬駅から車で5分宗派/高野山真言宗ご本尊/千手観世音菩薩開山/752(天平勝宝4)年ご利益等/心願成就、悩み事の解決代表的寺宝/涅槃図、めひき大師掛け軸、阿字観掛け軸(いずれも原則非公開)御朱印/受付9時~16時、松本住職まで 300円年間行事毎月1回/密教志塾毎月1回/コーラス「スジャータ」1月1日/新年祈願会成人の日/初観音大祭4月8日/花まつり7月または8月/お盆法要8月21日/お施餓鬼法要【 ここも! 見とかれぇ】花まつり 毎年にぎわう花まつり。フラダンスのステージや千手寺カフェのオープンなど、年ごとにさまざまな催しものが行われる。2018(平成30)年にはコンサートが開かれ、歌とギターの音色が参拝者をよろこばせた。素朴でおいしい甘茶の接待も好評だ。

(2020年10月02日 09時15分 更新)