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ウクライナ大使の訴え

 突然、わが家や街に電気が来なくなったら―。テレビや冷蔵庫、照明や空調などの家電は使えず、街灯や店の明かりも消える。生活が困難に陥るのは明らかだが、どうも実感が湧かない▼しかし、そんな恐れに常にさらされている人々がいることを見過ごしてはならないだろう。ロシアがウクライナ各地の電力インフラを集中的に攻撃している。一方、米国からの軍事支援が停滞し、ウクライナは迎撃用の防空ミサイルが不足して被害が拡大してきた▼非人道的な攻撃を受けるウクライナ。先日東京で、コルスンスキー駐日大使の話を聴く機会があった▼ロシアの本格侵攻から2年余り。今の戦況はウクライナが押され気味に見えるが、大使は「軍事的な能力が数十倍のロシアに対して抵抗できているのは勝利そのものだ」と語った▼ロシアの残虐行為を具体的に示し「19世紀と同じ帝国を目指す野望しかない。ウクライナの歴史や文化を自分のものにしようとしている」と非難。さらに近隣諸国へも侵攻する可能性を指摘した▼「絶対に勝って平和を取り戻す」と力を込めたが、戦闘は長引きそうだ。その間に、他国への避難者がそのまま帰らなくなる懸念から「すぐに復興を進めねばならない」と悲痛な思いを訴えた。理不尽な仕打ちを受ける人々。十分応えられていない国際社会がもどかしい。

(2024年04月20日 08時00分 更新)

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