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湯郷に宿泊 セナの姿よみがえる 写真100点 デジタル技術で復元

鮮やかに復元されたセナの写真を見つめる女将の安広さん(手前)と若女将の山本さん
鮮やかに復元されたセナの写真を見つめる女将の安広さん(手前)と若女将の山本さん
 “音速の貴公子”の笑顔鮮やかに―。1994年4月15~17日、TIサーキット英田(現美作市の岡山国際サーキット)で自動車レース最高峰のF1パシフィック・グランプリ(GP)を走り、2週間後に34歳で事故死したアイルトン・セナ。GPと死去から30年の節目に、セナが宿泊した同市湯郷の旅館「ゆのごう館」は色あせた当時の写真約100点をデジタル技術で復元。温泉郷でくつろぐ貴重な姿がよみがえった。

 同館でファンから届いた花束を受け取ったり、記念撮影に応じたりしているセナの表情はどれも穏やかな印象。フロントで応対した若女将(おかみ)の山本陽子さん(59)は「リラックスされていて、サーキットでの険しい勝負師の顔とは全く異なっていた」と振り返る。

 セナはパシフィックGPの決勝でスタート直後にリタイアしたものの、予選では今も塗り替えられていないコースレコードをたたき出した。湯郷温泉街に多くの選手やスタッフが泊まる中で、ゆのごう館がセナの宿泊先に選ばれたのはツインベッドでゆったり過ごせる客室があったからだという。現在も客室は当時の雰囲気を残したままで、今も遠方からファンが訪れる。

 セナが美作市に滞在した記憶を伝えようと、同館はコーナーを設けて写真を飾ってきたが、経年劣化が進んだことから節目にデジタル加工を地元の写真家に依頼。色の調整や傷の修復で撮影時に近い状態に戻り、廊下の壁面に再展示した。

 「きれいになった。セナさんと会ったのが昨日のことのよう」。サーキットにも出向いて応援した女将の安広八恵子さん(87)は、復元された写真をしみじみと見つめた。

 サインやレプリカのヘルメットも並べ、午後3時~7時は宿泊客以外も見学可能とする。思い出を共有するために、セナやGPの写真を5月末まで広く募り、6月に特別展示を計画している。問い合わせは同館(0868ー72ー1126)。

(2024年04月17日 19時41分 更新)

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