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「瞳をとじて」(2023年、スペイン) 映画で奇跡は起きるか?

 黒じい 疲れた顔をしているなあ。どれ、精神状態を調べてあげよう。はい、瞳をとじて。

 シネじい スー。 

 黒じい 速攻で寝るな! 瞳をとじたままで私の言うことを聞いてください。さて、いま春うららです。何が見えますか? 

 シネじい ああ、なんて気持ちの良い天気なんだ。どれ、クローバーの草むらに寝っ転がってみるか。おっと、その前に犬のふんに注意(笑)。

 黒じい うう……何か聞こえませんか? 

 シネじい かすかに羽音が聞こえてくるのはミツバチか。何かささやいてくるぞ。

 黒じい 何と言っているかな?

 シネじい 「私の名はマーヤ」。

 黒じい うう……みつばちマーヤ‥。

 シネじい 「真矢ミキじゃないのよ。あしからず」。

 黒じい やかましい! 睡眠状態でもたわけたこと言いくさって!

 シネじい まー、やだ。マーヤだけに。

 黒じい ゲッ、今度はなんか回転運動を始めたぞ。

 シネじい くるくるくるくる…8の字を書くように。ハチだけに(笑)。

 黒じい やかましい! これはひょっとして蜜がある花の場所を仲間に教えるというミツバチダンスかもしれないぞ。フリッシュというオーストリアの学者が発見したと教科書で読んだことがある。それにしてもシネじいは、いつのまにミツバチと一体化したのか?(笑)

 シネじい くるくるくるくる、「ああ、忙しい。糖分が不足してきた」。

 黒じい 糖分補給を求めているな。このダンスが示す蜜の場所は‥…会社の食堂‥…菓子パンの自動販売機かい! もういい、目を開けんかい!

 シネじい というわけで、読者は薄々お気づきだったかもしれません。今回取り上げるのは、スペインのビクトル・エリセ監督の新作「瞳をとじて」です。...
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(2024年03月12日 11時30分 更新)

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