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買い物をロボに注文 楽しい会話も 福山で宅配サービス実験 市が支援

自宅でコミュニケーションロボットと会話する高齢者
自宅でコミュニケーションロボットと会話する高齢者
 高齢者の買い物支援と孤独感の軽減に役立てようと、ロボットとの会話で日用品を注文し配達してもらえるサービスの実証実験が福山市で行われている。地域課題の解決に向けた民間の取り組みを市が支援する事業で、ロボット開発のユカイ工学(東京)などが31日まで続け、正式な事業化を検討する。

 利用者が自宅で同社の「コミュニケーションロボット」(高さ約20センチ)に話しかけると、警備会社セコム(東京)を介してドラッグストアひまわり春日東店(福山市春日町)のタブレット端末に文字起こしされた注文が届く。それを受け同店が配達する。

 高齢化で買い物が課題となっている市東部の高台などの団地に住む10世帯13人(70~90代)が参加。電動カートに乗り約1時間半かけて買い物をしている一人暮らしの男性(89)=同市=は昨年11月下旬、自宅で牛乳やパンを注文すると、ロボットが復唱して受け付けた。

 ロボットは会話に合わせて首を振ったり、うなずいたりして24時間対応。起床や薬を飲む時間を知らせる機能もある。男性は「ロボットがかわいくて会話が楽しい。大変だった買い物が楽になった」と話す。

 春日東店は宅配サービスの注文をインターネットでも受けているが、高齢者の大半は電話。通販担当の池上健太郎係長は「ロボットならいつでも注文を受けられる。電話の待機人員や回線の混雑もない」と利点を挙げる。

 市が2023年度からの実験支援事業に採択し、ロボットのリース代や通信費など200万円を上限に補助。市デジタル化推進課は「ロボットはスマートフォンの利用が難しい高齢者の取り込みや人手不足の問題解決を期待できる」としている。

(2024年01月05日 21時55分 更新)

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