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公共交通の値下げ 使いやすくし乗客増やせ

公共交通の値下げ 使いやすくし乗客増やせ
 岡山市発着のバス路線の運賃を最大200円に抑える市のキャンペーンが今月スタートした。一部でも市内を運行するバス路線が対象で、市外の人にも恩恵が及ぶ。来年1月3日まで。運賃値下げが利用にどんな効果をもたらすか、今後の公共交通の在り方を探る試金石となろう。

 岡山市の中心部から遠いほどお得感は増す。周辺部対策としての意義も大きい。真庭市と結ぶバスは2220円が200円とかなり割安だ。実施して間がないが、平日でも満員に近い便などこれまでになく乗客が多いという。

 高齢の岡山市民らが対象の半額割引・ハレカハーフを利用すれば、わずか100円で済む。実際の運賃との差額は国の交付金で市が負担する。バスになじみがない人も、この機に乗ってみればいい。

 参考にしたのが、人口5万人余りの京都府北部の京丹後市だ。2006年、運賃の上限を200円に設定。市民アンケートで希望が多かった運賃を、市が主導してそのまま実行した。実施前と比べて年間の利用者はコロナ禍前で2・7倍、最近でも2・2倍と大幅増が続く。近隣の自治体にも広がり、京都丹後鉄道でも高齢者に導入された。利用が好調で、バスへの市の補助金はさほど増えずに済んでいるという。岡山でも利用が大きく増え、何らかの形で継続していくことが望まれる。

 岡山市は2年前からバスや路面電車の無料デーを設け、需要喚起を図った。22年(計8日)は通常時より平均2倍、23年(計5日)は2・2倍の利用があった=グラフ。1日3千~3500人の外出を促し、買い物などで2100万~3千万円の消費喚起効果が生まれたと推定される。

 これらから、公共交通を利用する潜在的な需要は現状の2倍以上あるものの、運賃の高さや便数の少なさなどの要因で抑えられている可能性が示唆される。岡山市は「徹底した利用者目線で利便性向上策が必要」とし、上限200円バスの利用結果を踏まえ、今後の公共交通運賃の在り方などを模索していくという。

 近年、地方のバスや鉄道の利用が減って交通事業者の経営が悪化、値上げや路線廃止、減便が相次ぐ。このままなら一層の利用減を招き、負のスパイラルに陥ってしまう。この流れを止めねば、地域は暮らしにくくなり衰退が避けられない。取り組みを強め、官民一体で公共交通を使いやすくすることが不可欠だ。

(2023年12月07日 08時00分 更新)

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