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ネット中傷 削除申請に対応ルールを

ネット中傷 削除申請に対応ルールを
 インターネット上に誹謗(ひぼう)中傷の投稿があふれている。書き込まれた人が交流サイト(SNS)などの運営企業に削除を申し立てても、放置されて被害が広がるケースが少なくない。運営側が責任のある対応を取るよう、ルール作りが求められる。

 総務省の有識者会議は先月、交流サイトの運営企業に対し、中傷投稿に関する削除指針の策定や、対応の迅速化を求める報告書案をまとめた。投稿は短時間で拡散しやすいため、削除申請の後、削除に応じたかどうかや、その理由を「1週間程度」で通知することが適当とした。運営側に海外企業が多いことから、被害者が日本語で申請できるようにしたり、国内事情に詳しい担当者を置いたりすることも要請している。

 有識者会議で示された2022年のアンケートによると、SNS利用者の8・0%が中傷投稿の被害に遭ったと回答した。運営企業に削除申請した人で「対応されたことがある」としたのは、26・2%にとどまった。対応されなかった人のうち、75・5%はその理由を知らされなかったと答えている=グラフ

 総務省の違法・有害情報相談センターに寄せられる相談件数は高止まり傾向にあり、運営別の上位を占めるのがX(旧ツイッター)、グーグル、メタ(旧フェイスブック)といった海外企業だ。被害者からは「削除申請の窓口が分かりにくい」「日本語での申請が困難」との指摘がある。「削除対応の基準が定められているのか分からない」「通報後1~2年後に連絡が来た」といった声もある。

 中傷投稿への対処法としては、法的手続きで投稿者の身元を割り出して損害賠償を求めるなどの手段もあるが、時間や費用がかかる点でハードルが高い。運営企業が指針に基づいて迅速に応じることがルール化されれば、被害の拡大防止が期待できよう。

 ただ、有識者会議では運営企業に罰則付きの削除義務を課すことも議論されたが、過度な削除が行われかねないとして見送られた。悪質な投稿を繰り返す人を常時監視するよう求める意見もあったものの、同様の理由で義務化はされなかった。

 ネット上の中傷は自殺につながるケースもあり、深刻な問題となっている。先月は、旧ジャニーズ事務所での性被害を訴えていた40代男性が亡くなっていたことが分かった。SNSで誹謗中傷が相次ぎ、遺書を残していた。運営側はSNSの影響力の大きさを自覚し、安心して利用できる環境を整えてもらいたい。

(2023年12月06日 08時00分 更新)

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