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岡山の2高 缶詰コンテスト決勝へ 海の変化、課題魚のおいしさ発信

アイゴの缶詰開発に挑戦した岡山高の生徒たち
アイゴの缶詰開発に挑戦した岡山高の生徒たち
岡山高が考案したアイゴのアヒージョ。県産ノリ、瀬戸内市牛窓町産のオリーブオイルとマッシュルームなど地元産食材と組み合わせた
岡山高が考案したアイゴのアヒージョ。県産ノリ、瀬戸内市牛窓町産のオリーブオイルとマッシュルームなど地元産食材と組み合わせた
アイゴ(イラスト)
アイゴ(イラスト)
チヌを使ったおかやま山陽高の生徒
チヌを使ったおかやま山陽高の生徒
おかやま山陽高が出品するチヌのシチュー。ホワイトソースと魚の味のバランスを工夫した
おかやま山陽高が出品するチヌのシチュー。ホワイトソースと魚の味のバランスを工夫した
チヌ(イラスト)
チヌ(イラスト)
 全国の高校生が地元の海で課題となっている魚介を使って考案する缶詰のアイデアコンテスト「LOCAL FISH CANグランプリ」の決勝大会(10月8日・東京)に、県内の2校が出場する。アイゴを使った岡山高(岡山市)と、チヌを用いたおかやま山陽高(浅口市)。一つの県から2校以上が進出するのは唯一で、両校は「瀬戸内海に起きている環境変化と、あまり知られていない魚のおいしさを発信したい」と意気込んでいる。

 岡山高は2年生6人がアイゴのアヒージョで挑む。近海で取れたアイゴに、県産のノリ、瀬戸内市牛窓町産のオリーブオイルとマッシュルームなどを組み合わせ、地元産の食材を前面に打ち出した。ニンニクやレモンを加えて魚の臭みを消し、爽やかな風味の中にまろやかさが感じられる。

 アイゴは温暖化に伴う海水温の上昇で、瀬戸内海でも目にする機会が増えた。魚のすみかになるアマモや特産のノリを食い荒らす被害があるが、アイゴ自体を食べる習慣があまりない状況に着目し採用を決めた。

 メンバーの太田崇翔さん(17)は「海の環境が変わるのはあくまで人間のせいで、魚は悪者じゃない。適切に調理すればおいしく食べられることを伝え、イメージを変えたい」と話す。

 おかやま山陽高は2、3年生12人がチヌのシチューを考えた。骨から取っただしや大きめにカットした身を使い、ジャガイモやニンジンもゴロゴロ入る。臭みを抑えてうまみを引き出そうとホワイトソースの濃さと魚の味のバランスを調整。コロッケやグラタンなどに応用できるよう仕上げた。

 同校のある浅口市はカキの養殖が盛ん。近年海水温上昇などでチヌが稚貝を食べてしまう被害が深刻化する一方、以前ほど食卓に上らないため漁業者が取らなくなる悪循環にあることを地元漁協から聞き、テーマに選んだ。

 レシピを考えた調理科3年桜井楓花さん(18)は「チヌの風味を保ちつつ臭みが残らないように分量を工夫した。鮮度が長く保てる缶詰なら県内外の多くの人に届けられる」とアピールする。

 コンテストには全国の57チームが応募し、愛媛や石川、熊本県などの9チームが予選を通過。決勝では味の審査のほか生徒によるプレゼンテーションが行われ、内容やテーマ性を基準に入賞作が決まる。

(2023年09月30日 15時15分 更新)

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