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参院の選挙改革 「合区」解消が優先課題だ

 参院で選挙制度改革の議論が今月から始まった。与野党でつくる「参院改革協議会」が、2025年の次期参院選に間に合うように作業を進める方針だ。

 優先すべき課題は隣接県を一つの選挙区にする「合区」の解消だ。1票の格差を是正するため、16年選挙から「鳥取・島根」、「徳島・高知」の両選挙区が置かれた。あくまでも暫定措置で、公選法の付則にも19年選挙に向け「抜本的な見直しを検討し、必ず結論を得る」と明記されたものの、棚上げされたまま、2回の選挙が実施された。

 4県では合区を境に選挙の関心が低下している。いずれも投票率は落ち込み、徳島は2回連続で全国ワーストとなった。無効票も増えているという。自県から議員を選出できない有権者の戸惑いや失望の表れにほかなるまい。

 隣接県といっても県民性や文化が異なる。二つの県で利害が対立した場合に県民の意見を国政に反映できないとの声もある。4県だけを単独の選挙区として扱わないことで「憲法が定めた法の下の平等に反する事態が生じている」と新たな不平等の発生を指摘する専門家もいる。

 人口だけを基準にする選挙制度では、衆院小選挙区定数の「10増10減」のように議員が都市部に集中して地方から減り続けるのは明らかだ。人口推計などに基づけば、合区の対象が25年に15県、35年には20県に増える可能性があるとした行政の試算も公表されている。半数近い県が合区される状況は看過できない。

 制度改革に当たっては、全ての都道府県から最低1人は議員を選出できる仕組みにいったん戻してから議論するのが筋だろう。なし崩しに合区の固定化や拡大を招いてはならない。弊害についての検証も不可欠だ。

 格差が最大3・03倍だった今夏の参院選は憲法違反として各地で起こされた訴訟は今月中旬に高裁・高裁支部判決が出そろった。計16件のうち「違憲」1件、「違憲状態」8件で、19年の前回選挙の際には14件に上った「合憲」が7件に半減した。司法の判断が厳しさを増しているのは間違いない。

 背景には、国会の対応の鈍さがあろう。前回選挙後は何も手を打たず、1年以上かけて与野党が制度改革を議論したものの結論は先送りした。これでは改革の本気度を問われても仕方あるまい。

 今後の議論で焦点となる合区を巡っては自民党と立憲民主党が解消で一致するが、その手法については自民は憲法改正、立民は法改正と異なっている。この他にもブロック制などの主張もある。各党は党利党略を排して議論を進めてもらいたい。

 選挙制度改革は法整備から実施まで1年程度の周知期間が必要とされる。スピード感も重要だ。意見集約が難しい場合は第三者機関に委ねるといった対応も求められよう。

(2022年11月29日 08時00分 更新)

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