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次世代半導体 「日の丸」復活果たせるか

 スマートフォンやパソコン、自動車、家電など幅広い製品に不可欠な電子部品で「産業のコメ」と呼ばれるのが半導体だ。中でも、回路線幅が極めて細く、高度な生産技術が求められる「次世代半導体」について、国内で生産できる態勢を目指し官民による新たな戦略が動き始めた。

 日本の半導体産業は、かつて世界を席巻したものの、その後シェアを落とし、弱体化しつつある。だが、米国と中国の技術覇権争いが激化する中、サプライチェーン(供給網)強化を進める経済安全保障上の観点からも、次世代半導体は重要物資である。官民を挙げた取り組みを進め、国内の半導体産業の巻き返しにつなげてほしい。

 西村康稔経済産業相は今月中旬、次世代半導体の量産に向けた新戦略を発表した。トヨタ自動車やソニーグループ、NTT、ソフトバンク、半導体大手のキオクシアなど8社が計73億円を出資して設立した新会社「Rapidus(ラピダス)」に対し、政府が700億円の補助金を出すのが柱である。

 半導体は回路線幅が細いほど性能が高い。主要国では微細化の競争が激しさを増しており、世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は2025年に回路線幅が2ナノメートル(ナノは10億分の1)の次世代型の生産を始める構えだ。

 一方、日本の企業は現在、回路線幅が40ナノメートル程度までの半導体しか生産できず、台湾や韓国などに後れを取っている。ラピダスは回路線幅が2ナノメートル以下の次世代半導体の研究や開発、生産などを手がけ、量産製造基盤の拠点となることを目指す。27年に生産を始める方針だ。

 日本の半導体産業は1980年代のピーク時には世界市場の50%ほどを占めるまでになり「日の丸半導体」と呼ばれた。ところが、日米貿易摩擦の象徴となって勢いを失ったほか、設計と製造を分離して生産性を高める事業モデルに転換する世界の潮流を見誤り、国内勢だけで固まる自前主義に陥るなどで、没落の一途をたどった。政府が支援し、日の丸半導体の復活を目指す動きもあったが、結果的に失敗した。

 新戦略の実現に向けては、そうした経緯を教訓にしなければならない。鍵となるのが半導体関連の主要メーカーがある米国などとの連携だ。

 その一環として、政府は日米共同の研究を担う新組織「技術研究組合最先端半導体技術センター」を年内に立ち上げる。産業技術総合研究所や東京大などが参加する組織で、ラピダスはこの技術研究組合と連携する。米国をはじめとする海外の関係機関や企業との先進的な研究開発に期待したい。

 量産に向けては兆円単位の投資が必要とみられる。国策として次世代半導体の量産を目指すためには、国による長期的な資金支援の是非も課題だろう。

(2022年11月24日 08時00分 更新)

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