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大型観光企画 感染抑え全国から誘客を

 大型観光企画「岡山デスティネーションキャンペーン(DC)」が、きょう始まる。各都道府県が行っている「県民割」を拡大する形で、国の全国旅行支援策も今月中にスタートする。新型コロナウイルス禍で低迷が続いてきた観光産業を復活させる契機としたい。

 DCは岡山県内の自治体や団体、JRグループ6社がタイアップして9月末まで実施される。アート、ビュー、テイスト、ヒストリー、リラックスの五つのテーマに沿った約180のイベントを各地で展開。JR津山線で新たな観光列車の運行が始まるほか、レトロ列車などの臨時運行も計画されている。

 今回のキャンペーンで特徴的なのは、コロナ禍で密を避けるため、人出の少ない朝晩や屋外のイベントが数多く企画されていることだ。倉敷市・大原美術館で開館前に名画を鑑賞する「モーニングツアー」や、夜間開放した真庭市のハーブガーデンで星空観察などを楽しむ「蒜山スペシャルナイト」、鏡野町の原生林に作られた遊歩道を早朝から散策する「モーニングハイク」などである。

 瀬戸内国際芸術祭の夏会期(8月5日~9月4日)と連動した企画も注目される。瀬戸芸会場の岡山市・犬島の空き家をはじめ、瀬戸内市立美術館や牛窓ヨットハーバーなどを倉敷発のマスキングテープ「mt」で装飾。犬島と岡山市・京橋などを結ぶクルーズ船もmtの柄でラッピングする。瀬戸芸に訪れた客を岡山へと誘導する効果が見込まれる。

 岡山県の2020年の観光客数は前年比21・3%減の1331万5千人にとどまった。緊急事態宣言などの発令により宿泊を伴う遠方からの客が減ったことで、観光消費額は39・6%減の1183億円と大きく落ち込んだ。21年以降もコロナの影響が続き、旅行会社やホテルなどは厳しい経営を強いられている。全国から客を呼び込むキャンペーンは国の「Go To トラベル」以来約1年半ぶりで、関係者の期待は大きい。

 DCはコロナと共存しながら社会経済活動を動かしていく「ウィズコロナ」を定着させる試金石にもなる。感染拡大を防ぐ観点から、国の新たな旅行支援策では、ワクチンの接種済み証か陰性証明が必要としている。各施設やイベント会場でも感染対策に万全を期してもらいたい。

 DCの効果を一過性に終わらせないことも大切だ。湯原、奥津、湯郷温泉では8月27日から「美作三湯芸術温度」、岡山市中心部では9月30日から「岡山芸術交流」と、アート関連のイベントが続く。10月1日からDCの推進団体による「おかやま秋旅キャンペーン」が計画されており、11月3日には岡山城がリニューアルオープンする。この機会に岡山観光の魅力を集中して発信し、誘客の流れを確かなものにしたい。

(2022年07月01日 08時00分 更新)

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