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新型コロナウイルス禍で、ご多分…

 新型コロナウイルス禍で、ご多分に漏れず「不要不急」に仕分けられた。だから実に3年ぶりとなる。岡山市の天満屋岡山店で始まった展覧会をはやる気持ちで訪ねた▼日本工芸会中国支部による公募展(30日まで)である。工芸には実用のために量産する「製品」もあるが、こちらは、いわゆる人間国宝ら作家たちが高度な手技で表現する「作品」だ▼鉢の底がしっとりと黒光りする漆器がある。草木で染めた糸を縦に横に織り成した着物もある。備前の土をガリッと焼き締めた花器。和紙を貼り重ねた人形。会場は究極のアナログ世界と言えるだろう▼作者の名前をたどりつつ、個展もままならない、この3年間に交わした言葉を思い出した。「今の作品でいいのか第三者の目がなくて不安」「工芸なんてしょせん道楽、と言われて落ち込んだ」「催事も商談も消えたし、いい機会だから仙人みたいに工房にこもるよ」▼伝統工芸の分野はコロナ禍以前から多くの課題に直面している。担い手は高齢化しており、人々の生活様式も変わった。国内で調達が難しくなっている素材もあるという▼それでも何世代も連綿と受け継がれてきた技。まだ生まれていない世代や、さらに未来まで伝えるために、今何ができるのか。それぞれが思いの丈をぶつけた作品群には“不揺不朽”のたくましさがある。

(2022年05月27日 08時00分 更新)

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