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盛山文科相と教団 曖昧な説明は閣僚失格だ

 二転三転する説明からは不信感が拭えない。衆院選で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から推薦状を受け取るなどしたとされる盛山正仁文部科学相である。説明責任を果たせないのならば、ポストに居座る資格はあるまい。

 盛山氏は2021年10月の衆院選の際、公示前に神戸市で関連団体会合に出席し、推薦状を受け取ったと取り沙汰されている。教団側の推薦確認書に署名したほか、団体の会員が選挙運動を手伝ったとの指摘もある。

 推薦確認書は推薦状を出す条件とされる。国政選挙に際して教団の関連団体が自民党議員に提示し、一部が署名したことが判明している。憲法改正のほか、LGBTや同性婚合法化への慎重な対応などを掲げ、事実上の「政策協定」と受け止めた議員もいた。盛山氏にも同じような内容が示された可能性がある。

 盛山氏は6日の衆院予算委員会で、推薦状を受け取ったかどうか野党議員にただされ「はっきりとした記憶がない」としたが、7日に別の議員から問い詰められると「報道された写真を見て、うすうす思い出してきた」と語った。推薦確認書の署名についても当初「よく覚えていない」と回答したものの、さらなる追及に「軽率にサインしたのはおっしゃる通りだ」と認めた。しかし8日には「サインしたかどうか覚えていない」と答弁を修正した。

 自身の選挙に関わる行動を覚えておらず、曖昧な答弁を繰り返すばかりでは、閣僚の重責を担えるのか疑問だ。

 そもそも盛山氏は昨年9月の文科相就任時点で、教団との関わりが明らかになっていた。安倍晋三元首相が銃撃された事件をきっかけに教団と自民党との関係が問題化したのを受け、党が22年に実施した調査で、盛山氏は「関連団体の会合に出席し、あいさつ」をしたことが判明していた。ただ、報告は22年3月の集会についてのみだった。問題となっている21年の会合への参加は今月7日、党に追加報告した。

 文科相は宗教行政の所管庁トップである。他の閣僚以上に毅然(きぜん)と教団と向き合わなければならない。昨年9月の就任記者会見では「現在、団体との関係は全くない」と述べた。だが、過去に接点がある以上、適材適所の人事なのか疑わしい。

 高額献金被害の訴えが相次ぐ教団を巡っては、盛山文科相が解散命令請求を東京地裁に申し立てた。地裁は今月、教団側と文化庁側の双方から意見を聴く「審問」を初めて開く見通しだ。両親が信者という30代男性が「盛山文科相のままでは教団と闘っていくことはできない」と語るのも、もっともである。

 盛山氏が文科相にとどまっていては被害者の不安を払拭することはできまい。岸田文雄首相は盛山氏の去就に責任を持つべきだ。

(2024年02月11日 08時00分 更新)

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