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姫新線の落合経由をめぐって 「我田引鉄」の真相いかに

 岩手県の一ノ関駅(いちのせきえき)と盛駅(さかりえき)を結ぶ大船渡線(おおふなとせん)陸中門崎(りくちゅうかんざき)・千厩(せんまや)間の線路は、四角形の3辺をたどるように大きく曲がっている。その形から「ドラゴンレール大船渡線」とか「ナベツル線」と呼ばれる。この大迂回を『日本鉄道請負業史』大正・昭和(前期)篇(日本鉄道建設業協会、1978年)は、大正時代の政争の所産だと説明している。

 久留米駅(くるめえき、福岡県)と大分駅を結ぶ久大線(きゅうだいせん)の線路は、由布院駅(大分県)の前後でおかしな曲がり方をしている。国鉄九州総局の記者クラブで17年間取材を続けた弓削信夫氏は、著書『明治・大正・昭和 九州の鉄道おもしろ史』(西日本新聞社、2014年)の「町長の弟がルートを曲げて造らせた現由布院駅」に次のように書いている。「当時このあたりにはまだ数少ない東大卒、大分県農工銀行支配人(頭取)、そして大分県議。なかなかの有力者。その要請には国鉄も折れざるを得ず、ルートは湯平駅(ゆのひらえき)から右へ、ヘアピンカーブ状に大迂回して、そのカーブの部分に南由布駅と北由布駅を設け、大正14年(1925年=7・29)、開通させた(『町誌由布院・別巻』)」。由布院駅も政争の所産のようだ。

 姫新線美作落合駅前後の線路も妙なカーブを描いている。...
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(2024年02月01日 11時30分 更新)

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