今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた大阪国際女子マラソンは２８日、大阪市のヤンマースタジアム長居発着で行われ、東京五輪代表で天満屋の前田穂南（２７）が２時間１８分５９秒の日本新記録で日本人トップの２位に入り、２大会連続の五輪代表に大きく前進した。２００５年にアテネ五輪金メダリストの野口みずきが樹立した従来の記録（２時間１９分１２秒）を１９年ぶりに更新した。国内レースで日本人女子が２時間２０分を切るのは初めて。

　レースは序盤から日本記録も狙えるハイペースで推移し、前田は中間点過ぎで５人の先頭集団を飛び出した。３１キロ過ぎで優勝したウォルケネシュ・エデサ（エチオピア）に先行されたが、力強い走りは最後まで衰えなかった。

　前田は「目標にしていたアレ（日本記録更新）を達成でき、すごくうれしい。今の力を出し切ることができ、走るのはやっぱり楽しいなと思えた」と話した。

　パリ五輪の女子マラソン代表は３枠で、２枠は昨秋の「マラソングランドチャンピオンシップ」（ＭＧＣ）で既に決定。残り１枠は大阪国際女子と３月の名古屋ウィメンズで日本陸連の設定記録（２時間２１分４１秒）を破った最速選手が得る。名古屋でこの日のタイムを上回る選手がいなければ前田が代表となり、天満屋勢にとって通算６大会目の五輪出場が決まる。

岡山に勇気と感動

　松田正己・岡山陸上競技協会会長の話　日本記録を１９年ぶりに塗り替える素晴らしいレースで岡山女子陸上界の底力を示し、県民に勇気と感動を与えてくれました。たゆまぬ努力と不屈の精神力のたまものであり、心から敬意をささげます。２大会連続となる五輪代表入りへの期待が大いに膨らみます。

　まえだ・ほなみ　兵庫県尼崎市出身。大阪薫英女学院高から２０１５年に天満屋に入社し、２年目の１７年１月に初マラソンを走り、同年夏の北海道マラソンで優勝。１９年９月の東京五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ」で優勝し、五輪切符を獲得した。２１年の五輪は３３位だった。マラソンの従来の自己ベストは昨年の名古屋ウィメンズで出した２時間２２分３２秒。１６６センチ。