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オスプレイ墜落 政府は毅然と対応せよ

 米空軍の輸送機オスプレイ(乗員8人)が鹿児島県・屋久島沖に墜落した。一部乗員の死亡が確認され、行方不明者の捜索が続いている。

 国内では2016年にオスプレイが沖縄県名護市沖に不時着、大破する事故が起きているが、死亡事故は初めてだ。エンジン部分から火が出ていたとの目撃情報がある。

 事故機は横田基地(東京)所属で、事故当日の11月29日は通常の訓練で岩国基地(山口県)から嘉手納基地(沖縄県)に向かっていた。墜落したのは屋久島の沖合約1キロの海上で、周辺には複数の漁船がいたという。墜落地点がずれれば、民間人にも被害が及んだ可能性がある。

 オスプレイは開発段階から構造上の欠陥が指摘されてきた。今回も構造上の問題ではないかとの指摘が出ている。米軍は原因究明と再発防止に全力を挙げねばならない。

 看過できないのは事故後の日本政府の対応だ。直後に沖縄県などから事故原因が分かるまでの飛行停止を求める声が上がったが、政府が米側へ要請したと説明したのは日付が変わってからだった。その後に米国防総省が記者会見で「(日本から)公式な要請を受け取っていない」と述べるなど、日米両政府の意思疎通は大丈夫なのかと疑念を抱かざるを得ない状況だ。

 オスプレイは米軍が横田基地のほか、普天間飛行場(沖縄県)にも配備し、陸上自衛隊も導入している。飛行ルートは基地周辺だけでなく全国各地にあり、過去には岡山県上空でも目撃されている。

 日米地位協定に基づき、今回の事故機の残骸などは米軍が引き取り、日本側は原則として捜査できない。事故原因が分からないまま飛行再開となれば、国民の不安は増すばかりである。事故原因の徹底究明と情報開示が着実になされるよう、日本政府は毅然(きぜん)と米側と交渉すべきだ。

 オスプレイの死亡事故は米国やオーストラリアなどでも発生。エンジンとプロペラをつなぐクラッチの不具合で事故が相次いでいるとして昨年8月には米空軍が全機を一時飛行停止にした。日本でも今年9~10月、九州や沖縄でオスプレイが相次いで緊急着陸したが、米軍は詳細を明らかにしていない。

 オスプレイを巡っては今年7月、米軍の求めに日本政府が応じて沖縄県を除く日本の山岳地帯で、より高度を下げての低空飛行訓練が可能になった。なし崩し的に基準の緩和が進んでいることへの懸念は大きい。米軍は住宅や学校、病院などの上空では実施しないとするものの具体的な訓練区域は公表しておらず、地元自治体への説明もない。

 全国知事会は18年、米軍機の訓練ルートなどの事前情報の提供をはじめ、日米地位協定の抜本的な見直しを求める提言を政府に提出したが、進展はない。自治体や住民が抱く危機感に政府は向き合うべきだ。

(2023年12月05日 08時00分 更新)

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