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感染研エボラウイルス動物実験へ 流入備え国内初、治療体制づくり

 国立感染症研究所村山庁舎=2019年7月、東京都武蔵村山市
 国立感染症研究所村山庁舎=2019年7月、東京都武蔵村山市
 エボラウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)
 エボラウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)
 国立感染症研究所が海外で承認されている薬などからエボラ出血熱の治療薬を探し出すための動物実験を近く始めることが19日、分かった。感染症法で危険性が最も高い1類に指定されており、ウイルスを使って薬の有効性を調べる動物実験は国内初。主にアフリカで発生する感染症だが、海外からの観光客が増え国内に流入する懸念があることから、感染者の発生時に迅速に治療できる体制づくりを目指す。

 実験で扱うのはエボラ熱のほか、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病の四つの原因ウイルスでいずれも1類。発症すると発熱や頭痛の症状が出て、粘膜などが出血することもあり致死率が高い。海外では薬の実用化が進んでいるが国内で承認された薬やワクチンはない。感染研は11月上旬に地元住民に説明し、実験に向けた準備に着手した。

 感染研村山庁舎にある危険な病原体が漏出しないよう厳重な対策を施したバイオセーフティーレベル4の施設で実験する。マウスや小型サルにウイルスを感染させ、海外で承認されているエボラ熱の治療薬や別の感染症の薬を投与する。

(2023年11月19日 17時13分 更新)

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