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コロナ禍前と同じ姿取り戻す 4年ぶり海外枠、思い一つに

(上から時計回りに)次々にゴールするフルマラソン出場者、沿道の観客と触れ合うランナー、思い思いの仮装で走るファンラン参加者のコラージュ
(上から時計回りに)次々にゴールするフルマラソン出場者、沿道の観客と触れ合うランナー、思い思いの仮装で走るファンラン参加者のコラージュ
 大声援を送る観客、おもてなしのボランティア、そして1万6千人余のランナーの思いが一つになった。規模、種目、応援風景とも新型コロナウイルス禍前の2019年大会と同じ姿を取り戻し、12日開催された「おかやまマラソン2023」。沿道ではハイタッチや記念撮影で喜びを分かち合うシーンがあちこちで生まれ、晩秋の岡山路を彩るビッグイベントの「完全復活」を印象付けた。

 「笑顔があふれ、明るい大会だった」。昨年に続いて完走した会社員斉田祥之さん(33)=宇都宮市=は汗を拭い、達成感をにじませた。第1回から参加する会社員高松孝雄さん(49)=岡山市中区=は「沿道の応援や仲間との声かけができて一体感があった。いつものおかやまマラソンが戻って来た」と喜んだ。

 岡山市中心部の最高気温は15・1度と涼しく、小雨が時折降ったものの、コンディションは上々。道中ではコロナ禍の前回大会で自粛を求められていた観客やボランティアとの交流の輪が広がり、ランナーの背中を押した。大きな声援に「ありがとう」と手を振ったり、ハイタッチしたりして応え、沿道の知り合いと一緒に記念写真に納まる人もいた。

 制限時間ぎりぎりでゴールした会社員井本満さん(47)=同市北区=は「途中で膝が痛くてもう無理かと思ったが、観客の1人にテーピングを巻いてもらいゴールにたどり着けた。人の温かさに感謝したい」と振り返った。

 4年ぶりに「海外枠」の募集も行い、中国、オーストラリアなど6カ国・地域から申し込みがあった。台湾在住の謝建宗さん(38)は「岡山との直行便が再開し、参加を決めた」。シンガポールから訪れたホリー・ウィリアム・アンドリューさん(37)は「すごく楽しかった。I love Okayama」。

 19年大会以来の「ファンラン」(5・6キロ)には約1400人が出場。ディズニーキャラクターの仮装や、38年ぶりの日本一に輝いたプロ野球阪神のユニホーム姿のランナーらが市街地を駆け抜けた。会社員横山正昭さん(61)=岡山市中区=は「コロナ禍で人との触れ合いが制限される寂しさがあった。走る人も、応援する人も気持ちを一つに楽しめる大会の存在は本当にありがたい」と感慨深げに話した。

(2023年11月13日 21時49分 更新)

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