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古里の海から着想 カラフル絵画 倉敷の大島さん、地元で初個展

グレーの背景にカラフルな色使いで動物を描いた作品と大島さん
グレーの背景にカラフルな色使いで動物を描いた作品と大島さん
 平日は会社勤め、週末は釣り人や観光客を乗せて船を操りながら画作に打ち込む大島公俊さん(43)=倉敷市=が、24日から児島市民交流センター(同市児島味野)で個展を開く。趣味で続けていた絵が話題となり、地元で初めての開催にこぎ着けた。漁師町で育ち、古里の海から着想を得たという作品群は、時々で表情を変える海面のようにカラフルだ。

 グレーの背景に輪郭を油性ペンで縁取りした動物を描き、アクリル絵の具で青や紫、ピンク色といった明るい色をちりばめる作風。個展では約20点を披露する。しぶきを上げてつぼから出るタコは躍動感たっぷり。クジラは悠々と波間を泳ぐ。ネクタイを締めて王冠をかぶったシロクマ、雨がっぱを羽織って傘を持つペンギンなどは親しみを感じさせる。

 タコの産地として知られる同市下津井出身。海とは関係ない会社に勤めているが「やっぱり海で働きたい」と30代前半から船の仕事を始めた。子どもの頃から好きだった絵も独学で続けていて、5年ほど前に下津井のカフェに作品が飾られたのを機に本格的な作家活動に入った。

 近年、釣り船を出しても魚が取れにくくなったことに危機感を抱く大島さん。絵の背景のグレーには漁獲量の減少が地元に影を落とす様が、動物に用いた色には朝焼けや夕焼けなどいろいろな色にきらめく海面の彩りが投影されているという。

 今年3月、インスタグラムに投稿した絵が天満屋倉敷店(同市阿知)の担当者の目にとまり初の個展が実現。その後、ルネスホール公文庫カフェ(岡山市北区内山下)など同市内で立て続けに個展を開き、評判を知った同センターから「幅広い年代に受け入れられる作品」とオファーを受けた。

 大島さんは「海が私の原点。魚が減っても、美しさや癒やしといった魅力は尽きない。絵をきっかけに愛する故郷を盛り上げたい」と意気込んでいる。

 会期は10月15日まで。午前9時~午後10時。入場無料。問い合わせは児島市民交流センター(086―474―8560)。

(2023年09月17日 09時07分 更新)

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