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月の輪古墳発掘70年 美咲で祭り 住民ら文化遺産に理解深める

講演などで歴史的な発掘調査について学んだ月の輪祭り
講演などで歴史的な発掘調査について学んだ月の輪祭り
 発掘調査から70年の節目を迎えた岡山県史跡・月の輪古墳(美咲町飯岡)を顕彰する「月の輪祭り」が14日、同所の飯岡体育館で開かれた。調査の意義、成果を解説する講演や発掘の記録映画を通じ、地域住民ら約180人が郷土の貴重な文化遺産へ理解を深めた。

 同古墳は4世紀末~5世紀初頭に築かれた直径約60メートルの大型円墳。地域住民と研究者が協働して発掘を行ったことで知られる。

 祭りは地域住民でつくる実行委が主催。くらしき作陽大の沢田秀実教授(考古学)が講演し、吉井川と吉野川の合流点を占める立地と、船形土製品の出土から「水運の要衝を押さえた権力者の墓だろう」と考察。同古墳の時期に地域から大型古墳が姿を消す現象にも触れ「美作地方でも有数の権力者だったのでは」と評価した。

 老若男女が発掘に奮闘する映画「月の輪古墳」の上映、調査を記念し作られた「月の輪踊り」のほか、太鼓演奏や合唱、ビンゴ大会などの催しもあり、世代を超えて楽しんだ。

 女性(75)=同町=は「月の輪古墳の時代にロマンを感じた。地域が一体となる要として、古墳の重要性を次世代に伝えたい」と話した。

(2023年08月14日 18時59分 更新)

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