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山陽学園中・高 被爆体験伝える 語り部活動や支援者募集

体験集やチラシのデザインを広げ、広信会長(右端)らから思いを聞くJRC部員=3日、山陽学園中・高
体験集やチラシのデザインを広げ、広信会長(右端)らから思いを聞くJRC部員=3日、山陽学園中・高
山陽学園中・高JRC部が製作したポスターやチラシのデザイン
山陽学園中・高JRC部が製作したポスターやチラシのデザイン
 山陽学園中・高(岡山市中区門田屋敷)のJRC(青少年赤十字)部が、岡山県原爆被爆者会と協力し、被爆体験を後世に伝える取り組みを始めた。同会がまとめた体験集を使って語り部活動を行うほか、会のボランティア募集のポスターなどを作って支援する。広島への原爆投下から6日で78年。被爆者が高齢化し、記憶の風化が懸念される中、若い世代で平和への思いを継承していく。

 今月3日、被爆者会の広信靖之会長(79)と、同会二世部会の木原賢一部会長(68)、部会員の村上佳穂さん(63)が同校を訪問し、体験集をJRC部員に3冊手渡した。県内89人から寄稿してもらい2015年に作った「被爆七十年―次世代に語り継ぐ被爆体験記」(A4判、145ページ)だ。

 広信会長は89人のうち、話を聞ける人が十数人まで減っている現状を説明し「語り部がいなくなると、世間の関心が薄らぐ。多くの人に伝えてほしい」と訴えた。高校3年の森原初菜(にいな)部長(17)は「体験集を読み込んで被爆者の気持ちになって、聞く人の心に響く語り部活動をしていきます」と応えた。

 JRC部は21年から、被爆者の体験を紙芝居などにまとめて語り継ぐ活動を実施。証言を多く得ようと被爆者会に協力を求めた際、県内で語り部が減っていることや、被爆者の子や孫世代も高齢化で伝承活動が十分できなくなっている状況を知り、協力を申し出た。

 同部では体験集を持って小中学校や公民館に赴き、朗読する。被爆者会が会員にインタビューした動画を編集したり、動画や会報を掲載するホームページを作ったりするボランティアも市民から広く募集。生徒がPRポスターやチラシを作り、県内の大学や専門学校、自治体に配布する。

 部員たちはポスターやチラシに使う2種類のデザインを3日に披露。「次世代につなげる」をテーマに、人の手などを描いており、担当の高校1年青木埜斐(のい)さん(16)は「体験を風化させないための手助けになれば」と話した。

(2023年08月05日 17時19分 更新)

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