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東京一極集中 是正の道筋と本気度示せ

 国家的課題でありながら、解決の糸口が一向に見えないのは政治の力不足と言われても仕方あるまい。東京一極集中の是正は参院選で焦点となるべきテーマである。

 安倍政権が人口減少に対応する「地方創生」を打ち出したのは2014年だ。地方から若い女性が減り、約半数の自治体は消滅する可能性がある―。有識者らによる民間組織の試算が社会に衝撃を与えたのがきっかけだった。

 政府は自治体と連携して、移住定住の促進や本社機能の地方移転に対する税制優遇といった施策を次々と打ち出してきた。「東京圏」(埼玉、千葉、東京、神奈川)の転入者数と転出者数を均衡させる目標も定めたが、一極集中はむしろ加速している。

 総務省の人口推計で、地方創生に着手した14年と直近の21年を比べると、人口が増えたのは東京圏と愛知、福岡、沖縄県にとどまる。東京圏の増加は93万人に上り、うち東京が62万人と際立つ。

 深刻なのはその中身だ。国土交通省によると、東京圏への転入が転出を上回る「転入超過数」の年齢別で91%を10代後半と20代が占める。性別では、女性が男性を上回る傾向が続いているという。有識者らの民間組織が予測した通りに進んでしまっている。

 新型コロナウイルス禍で、過度な人口集中のリスクが顕在化して「東京離れ」の兆しがあるものの、近郊移住が中心だ。有名企業や大学の集積が全国の若者を呼び込み、人口増や経済活動がさらなる集中を招く構図が固定化している。東京の高齢化が進み、介護需要の高まりから地方の若者を吸引する懸念もある。

 局面を変えるには、従来の枠組みにとらわれない大胆な政策が求められる。にもかかわらず、参院選で主要な争点にはなっていない。政党の公約などを見ても、地方活性化を競い合った数年前からはトーンダウン気味だ。

 地方創生の旗を振ってきた自民党は、後継の「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、デジタル人材の育成や情報インフラの整備によって都市部と変わらないサービスを受けられるようにすると唱える。連立与党の公明党も書きぶりは似通う。ただ、デジタル化が一極集中是正にどう結び付くのかは未知数だ。

 旧民主党を源流とする立憲民主党と国民民主党は、地方が自由に使える一括交付金の復活などを盛り込んでいる。日本維新の会は道州制導入といった地方自治制度の抜本改革を提唱する。いずれも新味の乏しさは否めない。

 国会では人口の多い都市部選出の議員が多数を占め、地方政策への関心が低下しているとの指摘もある。今後、一層の事態悪化も危惧される。

 現状のままでは地方だけでなく国の「持続可能性」がおぼつかなくなる。政党や立候補者は論戦を通じ、分散型社会を実現する明確な道筋と本気度を示さねばならない。

(2022年07月03日 08時00分 更新)

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