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またしても国からの「お願い」で…

 またしても国からの「お願い」である。新型コロナ感染拡大防止に続いて「終日、無理のない範囲で、節電へのご協力をお願いいたします」▼おとといから全国の家庭や企業を対象に節電要請が始まった。今夏は猛暑や火力発電所の老朽化などから厳しい電力需給が続くとみられ、長丁場の対応を強いられることになりそうだ▼ただし熱中症を防ぐためエアコンは適切に使うべし―とのこと。太陽が照りつける日中に起こるイメージが強い熱中症だが、実は約4割は夜間、それも就寝中の発症というから寝床に入るときも気は抜けない▼〈短夜(みじかよ)の夢の満身創痍(そうい)かな〉森田公司。暮れたかと思うと、たちまち明ける夏の夜。蒸し暑くて寝苦しい。朝一番からぼーっとする。そんな不快な経験がある人は多いだろう▼米誌ナショナルジオグラフィック日本版のサイトに気になる研究報告があった。地球温暖化に伴い世界の大半で昼より夜の気温上昇幅が大きくなっており、私たちは既に年間44時間分の睡眠を失っているという。体を休ませる時間が減れば疲れは積み重なる一方だ▼暑い夜が健康に及ぼす悪影響は、冷房のすべがない低所得者や途上国の人ほど大きい。電力を使い、結果的に地球をさらに暑くしかねないエアコンで涼みながら「お願い」の難しさを考えていると、短夜はますます短くなる。

(2022年07月03日 08時00分 更新)

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