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おでかけ

動物園から逃げた「絵文字」探せ 23~30日 奉還町商店街を散策

奉還町商店街で動物の看板を手に店主と打ち合わせをする坂口さん(右)
奉還町商店街で動物の看板を手に店主と打ち合わせをする坂口さん(右)
動物名だけになったピクトグラム看板
動物名だけになったピクトグラム看板
ピクトグラムの看板を作った坂口さん
ピクトグラムの看板を作った坂口さん
 池田動物園(岡山市北区京山)からピクトグラム(絵文字)の動物たちが逃げ、奉還町商店街(同市)で散策しているらしい。探し出して情報を動物園に持って行き、特典をゲットしよう―。こんなストーリーで一帯ににぎわいを呼び込もうというユニークなイベントが23~30日に行われる。仕掛け人は岡山県立大(総社市窪木)でデザインを学んだ4年坂口幸亮さん(22)。卒業制作で手がけた新感覚イベントを春休みに体験してみては?

 あらかじめ3月上旬から動物園の飼育舎前に掲示していた84種のピクトグラム看板(25センチ四方)を、動物が逃げ出して名前だけになった看板に変えてイベントがスタートする。

 参加者は商店街の33店に“隠れている”動物看板(高さ約50センチ、幅約35センチ)を探索。見つけた店で、商品を買う▽SNSをフォロー▽チラシなど販促グッズをもらう―といったミッションをクリアすると、動物が各店の商品を眺めたり、サービスを受けたりする愛らしい様子を描いたオリジナルシールがもらえる。5枚集めて動物園に入園し、入園券(後日2回分)やソフトクリーム付き餌やり券(3回分)と交換する。

 デザインによるまちづくりを実践する場として幅広い世代が楽しめる動物園と商店街に着目。駐車場不足が課題の動物園と、JR岡山駅からの道筋にある商店街が連携することで、双方に公共交通や徒歩で訪れる人を増やそうと発案した。

 昨年夏に動物園や商店街の関係者に企画を持ちかけ、今年1月、両者と連携委員会を組織して準備を進めてきた。同委員会は「商店街を巡り、隠れている動物と一緒にお気に入りの店も見つけて」と呼びかけている。

 詳細や問い合わせは動物園(086―252―2131)。

企画した県立大・坂口さんに聞く 学び生かし岡山に恩返し


 坂口さんは三重県出身で、デザインでまちづくりに貢献できる人材になりたいと岡山県立大に入学した。卒業後は東京で就職するが「たくさんチャレンジさせてくれた岡山に、4年間の学びを生かして恩返ししたい」と準備に打ち込んでいる。

 昨年4月から構想を温め、今年に入って本格的な準備を開始。看板やシールなど必要な資材は手作りした。

 特にピクトグラム看板は動物園に何度も通って84種分を描き、シルクスクリーンという技法でアクリル板に印刷。工程が複雑で数日で10枚ほどしか作れず、1カ月ほど教室にこもった。資材高騰で想定より製作費も膨らみ、大学から出た予算を大幅に超えたため、不足分は自費で賄った。

 それでも途中で投げ出そうとは思わなかった。新型コロナウイルス禍で学外での実践活動ができず、もどかしい思いをしていた時に「頑張れば社会に貢献できる」という自信を岡山で得たからだ。

 3年時には岡山市が学生の商品開発を支援する事業に挑戦し、考案した知育玩具で最高賞を獲得。倉敷市からパンフレットデザインを受注したこともある。今回も動物園と商店街が提案を受け入れてくれて実現しただけに「貴重な機会を与えてくれた人たちに成果で応えたい」とやり遂げると決めている。

 東京では広告会社のデザイナーとして働く。「依頼主の思いをくみ取って形にするだけでなく、依頼主の周囲にある課題まで解決できるようになりたい。成長していつか岡山で仕事ができたら」と夢を語る。

(2024年03月17日 22時07分 更新)

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