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「赤羽刀」受難の歴史知って 備前長船刀剣博物館でテーマ展

受難を経て今に伝わる赤羽刀に見入る来館者
受難を経て今に伝わる赤羽刀に見入る来館者
 第2次大戦後に武装解除の一環で連合国軍総司令部(GHQ)に接収されたものの、処分を免れた日本刀「赤羽刀」のテーマ展が、瀬戸内市長船町長船の備前長船刀剣博物館で開かれている。受難の歴史を経て、美術品として再評価された20点が輝きを放っている。31日まで。

 赤羽刀の呼び名は、接収品が東京・赤羽に集められたことに由来する。関係者の尽力で約5500点は所有者に返還されたが、所有者不明の約3200点は東京国立博物館が保管していた。1999年に全国の博物館に無償譲与され、備前長船刀剣博物館は備前刀を中心に107点を譲り受けた。

 今回は博物館の所蔵品を中心に、県内で作られた刀や薙刀(なぎなた)、槍(やり)などを制作年代ごとに展示。室町中期の薙刀「秀景」は、複数の刃こぼれや受け傷が刀身に残り、実戦で何度も使われてきたことがうかがえる。江戸末期の脇指(わきざし)「祐永」は、咲き誇る八重桜のように華やかに乱れた刃文「重花丁字(じゅうかちょうじ)」が印象的。平安末期の太刀「近房」は、刃文の小さい波打ちが目を引く。

 上野瑞季学芸員は「赤羽刀は、いわば戦争で失いかけた日本の伝統文化。よみがえった刀を鑑賞することで保存、継承の意義を感じてほしい」と話す。

 新型コロナウイルス感染防止のためホームページでの予約制だが、余裕があれば当日も受け付ける。月曜休館。午前9時~午後5時。入館料は一般500円、高校・大学生300円、中学生以下無料。問い合わせは同館(0869―66―7767)。

(2022年07月10日 08時23分 更新)

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