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公共交通 4市町が「危機的状況」 本社が県内調査 背景に運転手不足

公共交通が「危機的状況」と回答した岡山市では、9社がひしめくバス路線の再編が課題となっている
公共交通が「危機的状況」と回答した岡山市では、9社がひしめくバス路線の再編が課題となっている
公共交通 4市町が「危機的状況」 本社が県内調査 背景に運転手不足
 山陽新聞社が今春、岡山県内の全27市町村に公共交通の現状について尋ねたアンケートによると、岡山、玉野、真庭市と美咲町の4市町が「危機的状況にある」と回答した。他の23市町村も将来への対策が必要とし、「現状のままで良い」と答えたのはゼロ。背景にはバスの運転手不足に加え、鉄道やフェリーを含む事業者の経営難があり、住民の移動手段が揺らいでいる状況が改めて浮かび上がった。

 危機的状況と答えた4市町のうち、県都・岡山市は「事業者の経営難」や「運転手不足」、「路線・便数が足りない」などを理由に挙げた。バス9社が運賃の値下げ競争や新路線参入によって経営体力が低下しているほか、運転手の残業規制が強化されて人手不足が深刻化する「2024問題」にも直面し、結果として減便や廃止が相次いでいる状況を重く捉えた。

 「事業者の経営難」を理由とした真庭市は、地元高校の生徒の半数が乗車するJR姫新線の利用低迷を問題視する。西側でつながる芸備線で、国を調整役としたJR西日本と地元自治体による存廃議論が始まった中、姫新線にも波及してこないか警戒感を強める。

 玉野市は昨秋にタクシー1社が運転手不足で廃業に追い込まれ、美咲町は高齢者向けのタクシー運賃補助券の利用が増えて財政を圧迫している事情がある。

 直近の3年間で鉄道やバスの減便や廃止があったと答えたのは15市町。人口減少による利用低迷に新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけ、経営状況が悪化している様子がうかがえる。

 各市町村が公共交通の現状に危機感を持ち、対策が必要と考える理由(複数回答)については、「運転手不足」が20市町で最も多く、「事業者の経営難」(17市町)、「バス停や駅が遠くて不便」(13市町村)、「路線・便数が足りない」(同)―などが続いた。

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 アンケートは山陽新聞の連載企画「リ・デザイン 生活交通と地域」の取材の一環で2月中旬~3月上旬に行い、交通担当部署の体制や予算、事業者への補助制度など23項目を尋ねた。

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