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エルヴィスと恋に落ちた14歳少女の物語『プリシラ』ソフィア・コッポラ監督のインタビューが到着

ソフィア・コッポラ監督=映画『プリシラ』(公開中) (C)The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023
ソフィア・コッポラ監督=映画『プリシラ』(公開中) (C)The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023
 世界が憧れるスーパースター、エルヴィス・プレスリーと恋に落ちた14歳の少女プリシラの物語を繊細に美しく描き、昨年の「第80回ベネチア国際映画祭」にて主演のケイリー・スピーニーが最優秀女優賞を受賞したソフィア・コッポラ監督の映画『プリシラ』が12日より公開されている。ソフィア・コッポラ監督が本作について語ったインタビュー映像が届いた。

【動画】『プリシラ』ソフィア・コッポラ監督のインタビュー映像

 『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)でアカデミー賞脚本賞・ゴールデングローブ賞脚本賞ほか、『SOMEWHERE』(10年)でベネチア国際映画祭金獅子賞、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(17年)でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞するなど数々の受賞歴を誇るソフィア・コッポラ。

 シャネルやヴァレンティノが彩る飛びきり甘美なシンデレラストーリーの中に、ソフィア・コッポラがこれまで描き続けてきた人間の孤独や疎外感といったビターなエッセンスを潜ませた本作は、「ソフィア・コッポラ 最高傑作」(Rolling Stone)、「First Loveの素晴らしさを描いてる」(Littie White Lies)と高く評価されている。

 プリシラ・プレスリーの回想録『私のエルヴィス』を読み、彼女のグレースランド(エルヴィスの大邸宅)での体験に心を動かされたというソフィア・コッポラ監督は「プリシラの人生を凝縮してどのように伝えるか、非常に興味深い挑戦だった」と語る。「14歳の頃から成長していく過程が、本人の目にどう映っていたのか。彼女自身の視点から創造的な方法で捉えたかった」と明かし、「グレースランドに来てから去るまでの期間を中心に展開させていった」という。

 そして、「彼女の人生はある意味、数奇であると同時に、女性なら誰もが経験するような普遍的な面も多い。初めてのキスやこどもを産んで母親になるというようにね。エルヴィスがツアーに出ても、彼女はこどもと家に残されるということも。彼女のそういった人間的な側面や関係の浮き沈みをリアルに描きたかった」と語っている。

 またソフィア・コッポラ作品の特徴である女性的な色使いが、本作においてもメイクやネイル、調度品などに反映されているという指摘については、「世界観の構築は私にとって非常に重要」とした上で、「60年代のメンフィスといえば、毛足の長いラグを思い浮かべる。ラッキーなことに写真や映像が豊富に残っている。当時の色使いは今とは違うから当時の色彩で再現するのは楽しい。あの時代に観客を引き込みたい」と笑顔を見せている。

 さらに「50年代~60年代にかけてのプリシラの変化や(彼女が暮らしていた)暗いドイツとの対比も表現したかった」と話し、「グレースランドは色鮮やかで、魔法の国のように見える。人生の新たな章の始まりに、新たなスタイルを見出していくの」と語る。ソフィア・コッポラの世界観に欠かせない色彩へのこだわりも垣間見られるインタビューとなっている。

■プリシラ役のケイリー・スピーニーにも注目

 本作では、14歳から20代後半まで、プリシラの繊細な変化と成長を表現し、「第80回ベネチア国際映画祭」で最優秀女優賞を受賞した、ケイリー・スピーニーの演技も見逃せない。ソフィア・コッポラ監督は、プリシラ役のキャスティングについて、若さゆえの世間知らずさと、グレースランドという特殊な環境で遂げた内面の成長を同時に体現できる表現者を求めていた。そして「プリシラ(本人)と話すといつも、とても優しくてやわらかでオープンな印象を受けます。ケイリーに会った時、同じ長所を持っていると感じました。ケイリーはとても表情豊かで、人生の異なるステージを演じ分ける驚くべき能力を備えています」と絶賛。

 そんなケイリー・スピーニーに対し、プリシラ・プレスリー本人も「素晴らしい演技だった」と賛辞を惜しまなかったという。

 ケイリー・スピーニーも「これは人間ドラマ。極めて特別なもの。エルヴィスとプリシラは私たちにとってアメリカの特権階級だけれど、今までは本当の意味で裏事情を目にすることはなかった。本作はそれをやってのけたと思う」と自信をみせていた。

 エルヴィス役にキャスティングされた、オーストラリア出身で、『キスから始まる物語』(2018年)で注目を集め、エメラルド・フェネル監督の『Saltburn』(23年・配信中)に出演している若手俳優ジェイコブ・エロルディも、その声や佇まいがエルヴィス本人に似ていると話題だ。

 さらに、ソフィア・コッポラ監督作品といえば、音楽も物語を彩る重要な要素だが、本作の音楽は、監督の夫トーマス・マーズのポップロックバンド、フェニックスが担当。米ボルチモアのエレクトロニック・アーティスト、ダン・ディーコンの曲「The Crystal Cat」やプリシラのテーマ曲となったフランキー・アヴァロン「ヴィーナス」、ラモーンズの「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」、スペクトラムなど、当時の曲や最新の音楽も使いながら、スタイリッシュな世界観を作り上げている。



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(2024年04月17日 10時00分 更新)

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