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ドローン搭載 ガス漏れ検知器開発 JFEスチール、超音波で可視化

地上でドローンを操縦し、高所にある配管のガス漏れを探る
地上でドローンを操縦し、高所にある配管のガス漏れを探る
パソコンに映し出されるドローン映像。ガス漏れ(リーク)の箇所(中央)がカラフルに表示されるようにした
パソコンに映し出されるドローン映像。ガス漏れ(リーク)の箇所(中央)がカラフルに表示されるようにした
 JFEスチール(東京)は、配管からのガス漏れを調べるドローン搭載型の検知器を開発し、西日本製鉄所(倉敷市、福山市)など全製鉄所に導入した。ガスが漏れる際に発生する超音波を捉えて該当箇所を可視化する仕組み。高所での点検が容易になり、より安全で効率的な作業につなげる。

 検知器には、人の耳に聞こえない超音波を受信するセンサーを複数取り付けている。受信する時間差によってガス漏れの位置を特定。その情報をカメラで撮影した動画に重ねることで地上のパソコン画面で確認できるようにした。

 超音波とドローンのプロペラ音を判別するため、特定の周波数帯域のみを通過させるフィルターを採用。プロペラ音を遮るフードは、ドローンの揚力を損なわないよう形状を工夫し、飛行の安定性を高めた。検知器は幅32センチ、奥行き54センチ、高さ15センチ、重さ1・4キロ。

 製鉄所では、可燃性や毒性のある多様なガスをエネルギーとして活用している。全長数百キロにも及ぶ配管が経年劣化や潮風によって腐食し、ガスが漏れてしまうことがある。エネルギーロスになるほか、火災の危険性や人体への悪影響が懸念されるため、点検作業が毎日行われている。

 配管の場所によっては、50メートルの高さで作業する。足場の組み立てや解体を含め小規模な範囲で3日ほどかかる点検が、ドローンを使うことで半日程度に短縮できるという。将来的には、撮影した動画データを蓄積、分析し、設備トラブルの防止にも役立てる。

 倉敷地区(倉敷市水島川崎通)と福山地区(福山市鋼管町)には昨夏までに各1台を導入した。投資額は非公表。従来の点検も継続しながら、台数を増やしたり、操縦士を育成したりして、徐々にドローンの割合を高めていく。他社への販売も検討する。

 完全子会社で計量機器製造のJFEアドバンテック(兵庫県西宮市)と共同開発した。JFEスチールは「DX(デジタルトランスフォーメーション)を一層推進し、生産性向上と安定操業の実現を目指す」とする。

(2024年04月16日 16時54分 更新)

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