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工場で2人窒息死事故、無罪判決 仙台地裁、当時の現場指揮者に

 無罪判決後、取材に応じる田中文雄被告=16日午前、仙台地裁
 無罪判決後、取材に応じる田中文雄被告=16日午前、仙台地裁
 仙台市太白区の電子部品関連会社トーキンの工場で2020年7月、男性社員2人が酸欠で窒息死した事故で、業務上過失致死罪に問われた当時の現場指揮者田中文雄被告(59)に仙台地裁は16日、「事故当日欠勤しており事故発生を予見できたかは合理的な疑いが残る」として無罪判決を言い渡した。求刑は罰金60万円。

 宮田祥次裁判長は、被告が負うべき作業の注意義務も限定的で、指揮命令権限がなかったと指摘した。

 事故は20年7月29日、金属の原材料を焼き固める焼結室内で発生。修理作業中だった古山哲也さん=当時(50)=と細矢駿行さん=同(26)=が死亡した。被告は事故前日に焼結室の不具合の報告を受けていたのに、修繕を指示しなかった注意義務違反があるとして起訴されていた。

 判決後、田中被告は取材に応じ「亡くなられた2人に本当に申し訳ない、その気持ちは変わらない」と話した。

 仙台地検の平野達也次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。

(2024年04月16日 12時35分 更新)

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