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佐竹さん オリーブ園作品を追体験 瀬戸内市立美術館 写真と比較展示

佐竹さんの油彩画と風景写真をセットで並べた作品展
佐竹さんの油彩画と風景写真をセットで並べた作品展
1960年ごろの油彩画
1960年ごろの油彩画
制作スポットから撮影した現在の写真
制作スポットから撮影した現在の写真
 瀬戸内市牛窓地域にアトリエを構え「オリーブの画家」として親しまれた洋画家佐竹徳さん(1897~1998年)の作品展「名画の生まれたオリーブ園を訪ねて」が、同市牛窓町牛窓の市立美術館で開かれている。絵の構図を基に制作スポットを特定し、現在の風景と見比べられるよう写真とともに展示。佐竹さんが愛した景色を追体験できる。21日まで。

 大阪生まれの佐竹さんは岡山市出身の洋画家鹿子木孟郎らに洋画を学び、20歳で文展(現日展)に初入選するなど中央画壇で活躍。60代の時に旧牛窓町の風景にひかれ、東京に居を構えながら100歳で亡くなるまでオリーブ園で約40年間創作を続けた。岡山県文化賞などを受賞し、同町の名誉町民第1号でもある。

 佐竹さんの油彩画は同館コレクションの柱。今回の展覧会に合わせ、原野裕美子学芸員が昨年9月から半年間現地調査を行い、海や島、石垣の位置をはじめ、当時佐竹さんと一緒に絵を描いた人の証言から制作スポットを特定した。

 会場では油彩画41点を展示し、うち33点に写真を添付。オリーブが茂る様子を繊細なタッチで濃淡豊かに描いた最初期とされる1960年ごろの作品、木の力強さが画面全体に満ち、日展の内閣総理大臣賞を受賞(67年)したころの作品などと写真を比べると、木が枯れたり、伐採されたりはしているが、地形を正確に描写しアレンジを加えていないことが見て取れる。

 原野学芸員によると、制作スポットが全てオリーブ園内のアトリエ近くであることも判明。「佐竹さんは初めからお気に入りの場所を選び、生涯描き続けたのだろう。ぜひ実際に現地へ足を運び、画家を魅了した景色を味わってもらいたい」としている。

 午前9時半~午後5時。月曜休館。入館料400円、中学生以下無料。

(2024年04月14日 10時16分 更新)

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