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林原美術館 工芸公募展「掌」創設 開館60周年記念、担い手育成へ

林原美術館
林原美術館
 林原美術館(岡山市北区丸の内)は9日、全国規模の工芸公募展「掌(たなごころ)」を創設すると発表した。今年10月に迎える開館60周年を記念し、伝統工芸の魅力発信と担い手の育成を目指す。2025年8月に第1回展の応募を受け付け、26年2月ごろに同美術館で入賞・入選作を展示する。

 同美術館は、旧岡山藩主池田家の伝来品を中心に、漆芸品や陶磁器など中近世の優れた工芸品を多数所蔵しており「長い歴史の中で育まれた工芸を、次の時代につなぐのも館の役割」と企画した。「両の手で愛(め)でる掌のアート」をコンセプトに、若手作家が挑戦しやすく、日常生活においても実用性の高い小品に作品を限定。3年に1度のトリエンナーレ方式で、金工や陶芸など毎回分野を変えて開催する。

 第1回展のテーマは「漆芸」。天然漆を使った未発表作で、1辺18センチ以内のサイズに限る。対象は、国内外の公募展で最高賞を受賞した経験のない作家で、国籍や年齢は問わない。応募は1人2点まで。出品料は1点につき5千円。

 蒔絵(まきえ)の重要無形文化財保持者(人間国宝)室瀬和美氏、唐澤昌宏国立工芸館長、岡山市出身の工業デザイナー水戸岡鋭治氏らが審査し、大賞1点(賞金60万円)、ナガセヴィータ賞1点(同20万円)、伝統工芸木炭生産技術保存会賞1点(同20万円)、優秀賞2点(同10万円)を選ぶ。結果は25年11月ごろに林原美術館ホームページで発表する。

 同館は「伝統工芸の新たな可能性を引き出すような展覧会にしたい」としている。問い合わせは同館(086―223―1733)。

(2024年04月09日 21時09分 更新)

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