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「先代」時計は1972年に設置 岡山・表町 商店街有志が出資

商店街有志らが1972年6月に設置した「先代」の時計台(シチズン時計提供)
商店街有志らが1972年6月に設置した「先代」の時計台(シチズン時計提供)
1972年以前にあった「先々代」(シチズン時計提供)
1972年以前にあった「先々代」(シチズン時計提供)
 岡山市表町商店街南部のイベントスペース整備事業で、撤去された時計台の中から見つかった「先代」時計は、商店街有志によって1972年に設けられたことが、製造元のシチズン時計(東京)や地元住民への取材で分かった。設置当初の写真など関係資料が同社に残っており、多くの買い物客でにぎわった商店街の当時の様子もうかがえる。

 シチズン時計によると、公共の場に置いた時計の資料を保管する本社書庫に「岡山表町商店街4面時計」との名前のファイルがあった。設置されたばかりの先代の時計台を撮影した写真が複数貼られ、うち1枚に「72年6月」と記してあった。撮影者や日時は不明。

 商店街の店主らによると72年はアーケードの改修が行われた頃。自転車の通行や緊急車両の進入経路の確保を優先し、先代の前にあった「先々代」の時計台を撤去する予定だった。だが一部から「商店街のシンボルが必要だ」との声が上がり、新たな時計台を作る計画が浮上。有志の出資で費用を捻出し、シチズン時計の協力も得て実現にこぎ着けた。

 同社のファイルには先々代の写真もあった。しま模様の土台から伸びる4本のポールの上に胴部分があり、左右の「お買物は岡山銀座へ」の文字が目立つ。その上に付けられた正方形の時計は故障中とみられる。

 表町商店街で喫茶店を経営し、当時をよく知る大島正勝さん(78)は「近くの京橋の船着き場からたくさんの買い物客が訪れ、商店街は身動きが取れないくらいにぎわっていた」と振り返る。

 シチズン時計は「時代が変わって時計台もその役割を終えつつある中、地域の方々の思い出になっていることは大変喜ばしい」としている。

 時計台は2月20日に撤去され、現地はイベントスペースの今月末完成に向けて整備が進んでいる。

(2024年03月21日 16時01分 更新)

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