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国内初モノパイル工場 笠岡に完成 JFEエンジ 洋上風力の土台製造

モノパイルの試作品。最大で直径約12メートル、長さ約100メートルにもなる
モノパイルの試作品。最大で直径約12メートル、長さ約100メートルにもなる
国内初の専門工場として完成した笠岡モノパイル製作所
国内初の専門工場として完成した笠岡モノパイル製作所
 プラント建設などのJFEエンジニアリング(東京)が笠岡市鋼管町に整備していた洋上風力発電設備の基礎構造物「モノパイル」の工場が完成し19日、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。モノパイル専用工場としては国内初。4月から稼働し、年間10万トン程度の生産を目指す。

 モノパイルは海底に固定する円筒形の土台で、風車部分を支える役割を持つ。鋼板を曲げてリング状の単管を作り、複数を溶接でつなぎ合わせて細長くする。新工場では、いずれも最大で直径約12メートル、長さ約100メートル、重さ約2500トンのモノパイルを製造できる。

 工場は「笠岡モノパイル製作所」と名付け、JFEスチール西日本製鉄所福山地区の一角約20ヘクタールに整備。単管を製造する素管工場(鉄骨平屋約3万8千平方メートル)、溶接作業に用いる移動建屋、研掃・塗装工場など6棟からなる。洋上風力発電で先行する欧州のメーカーから、鋼板の曲げ加工機や溶接装置を導入した。

 鋼材は約30キロ離れた同製鉄所倉敷地区(倉敷市水島川崎通)から調達する。同地区では、モノパイル向けの大型鋼板を量産できるよう設備を増強。従来製品より使う枚数が少なくて済むため、溶接回数や製造コストを抑えられるという。

 稼働により、地元を中心に300人程度の新規雇用を見込む。風車部分とモノパイルをつなぐ接続管「トランジションピース」を組み立てる津製作所(津市)の設備導入と合わせ、投資額は計約400億円。

 式典には関係者約200人が出席。テープカットで祝い、曲げ加工機のデモンストレーションを行った。

 モノパイルは、海水や潮流に長期間耐える必要があり、JFEエンジニアリングは多くの海洋構造物で培った技術が生かせると判断。国内シェア50%を目標に掲げる。大下元社長は「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)と日本の産業づくりの両立が使命。洋上風力発電の発展に貢献していく」と話した。

(2024年03月19日 21時01分 更新)

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