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瀬戸内海 ごみゼロへ意識高揚 岡山でフォーラム 活動発表や交流

海ごみ・プラごみ削減について話し合ったシンポジウム
海ごみ・プラごみ削減について話し合ったシンポジウム
 瀬戸内海のごみ問題に理解を深める「海ごみ・プラごみ削減フォーラム」(岡山県主催、山陽新聞社など共催)が23日、岡山コンベンションセンター(岡山市北区駅元町)で開かれた。関係団体の活動発表やシンポジウムがあり、参加者約300人が豊かな里海を守るため、海ごみゼロへの意識を高めた。

 県内外の約30団体がブースを設け、資料や映像でごみの回収や削減の取り組みを紹介。うち10団体はステージで発表し「中高生を巻き込む学びの場が重要」「里山のごみを減らし、海を守りたい」などと訴えた。

 「SDGs×吉備の環(わ)プロジェクト『地域課題に挑む』」と題したシンポジウム(同社主催)は、愛媛大大学院理工学研究科の日向博文教授が基調講演。瀬戸内海西部はプラスチックごみの海洋汚染が高度成長期の1950年代後半から始まり、立ち入り困難な海岸に大量に打ち寄せられている愛媛県内の現状を示した一方で「海面を漂流するごみよりは回収しやすい。回収が困難になるマイクロプラスチック化を防げる」と強調した。

 パネルディスカッションでは、NPO法人グリーンパートナーおかやま(岡山市)の田中朱音さんが、岡山県北から県南の旭川流域で学校や地域とともに展開する一斉清掃を紹介し「捨てない意識と拾う意識が広がっている」と説明。一般社団法人みんなでびぜん(備前市)の船橋美可代表理事は、船でしか着けない海岸のごみを集める市民参加の活動について「短時間しかできなくても継続することが重要だ」とした。

 街中で見つけたごみの情報を集めるアプリを開発した山陽学園中・高地歴部(岡山市)は3人が登壇し、データからたまりやすい場所などを報告。アプリは情報を寄せるだけの手軽さがあり、部長の高校2年福原琉奈さんらが「多忙、無関心な人の行動変容を促し、誰もが『廃棄者』から『解決者』になれる」とした。

 これらの議論や実情を踏まえ、日向教授は「多くが陸から流れ込む海ごみはなかなか減らないが、時間をかけてでも減らしていく覚悟が不可欠だ」と指摘した。

 ブース出展者や発表者が情報交換、交流する時間もあり、参加者が課題やアイデアを話し合った。

(2024年02月23日 22時20分 更新)

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