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西大寺会陽 宝木争奪戦熱く 岡山、4年ぶり完全復活

投げ込まれた宝木を奪い合う男たち=17日午後10時、西大寺観音院
投げ込まれた宝木を奪い合う男たち=17日午後10時、西大寺観音院
 国重要無形民俗文化財の「西大寺会陽」が17日夜、岡山市東区西大寺中の西大寺観音院で開かれ、新型コロナウイルス禍で見送られてきた宝木(しんぎ)争奪戦が4年ぶりに復活した。締め込み姿の約9千人(主催者発表)が福を求めて肉弾戦を繰り広げ、日本三大奇祭の一つと称される勇壮な裸絵巻を演じた。

 境内には午後7時を過ぎた頃から男たちが次々と集結し、地押しを展開。「わっしょい」のかけ声とともに練り歩き、垢離(こり)取り場の冷水で身を清めた。本堂大床では宝木投下前から男たちがひしめき合い、時折浴びせられる打ち水が蒸気となって立ち込めた。

 午後10時、五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願する修正会(しゅしょうえ)が結願(けちがん)。本堂の照明が一斉に消され、御福窓から一対の宝木が投下されると「うおー」という男たちの声が地鳴りのように響き、うねりがさらに激しくなっていった。

 宝木は建設業井上翔太さん(26)=岡山市中区=らの中元グループと、公務員野崎剛志さん(34)=同市東区=らの林グループが獲得し、福男となった。

 西大寺会陽は室町時代の1510年に始まったと伝わる。コロナ禍で2021年に歴史上初めて宝木争奪戦を見送り、儀式で福男を選定。22年は儀式のみ行い、23年は観客を入れて地押しを再開し、段階的に従来の姿に戻してきた。今年の祝い主は、おかやま信用金庫(岡山市北区柳町)と菅公学生服(同駅元町)が務めた。

(2024年02月17日 23時54分 更新)

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