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クラフトコーラで大藪ミカン守る 玉野・池上さん 祖父の産地に思い

大藪ミカンを手に語らう聡さん(左)と祖父の良治さん
大藪ミカンを手に語らう聡さん(左)と祖父の良治さん
大藪ミカンと聡さんが作ったクラフトコーラ。炭酸水で割って楽しむ
大藪ミカンと聡さんが作ったクラフトコーラ。炭酸水で割って楽しむ
 おじいちゃんの「大藪ミカン」を守りたい―。玉野市田井でスパイスカレー店を営む池上聡さん(37)が、同市大藪地区の特産ミカンを使ったクラフトコーラの商品化を目指している。祖父三宅良治さん(94)らが長年栽培してきたが、高齢化などで生産者は減少。産地の将来が危ぶまれる中、かんきつ類とスパイスを組み合わせるクラフトコーラで魅力を発信し、応援したいと願う。

 大藪ミカンは瀬戸内海に面した同地区で大正時代から栽培。良治さんによると昭和の最盛期には生産農家50戸ほどが約20ヘクタールで営み、岡山県内を中心に年間600トン以上出荷したという。

 ただ昭和末期以降は栽培面積が縮小し、高齢化もあって現在は7、8戸に。良治さんも90歳を超えるまで頑張ったが、今は近隣の農業者広畑幸三さん(49)=同市=に農園を任せている。

 聡さんは幼い頃から農園で遊びつつ、良治さんの作業を手伝った。山の斜面で陽光と潮風をたっぷり浴びて育つ果実は「甘みと酸っぱさ、香りもすごく強くて、他産地のミカンでは物足りなく感じるほど」という。

 会社員を辞め、妻と念願のスパイスカレー店を昨年8月に始めたが、大藪ミカンのクラフトコーラを看板メニューの一つにした。ミカンを皮ごと煮詰めてクローブ、コリアンダー、シナモンなどと合わせることで、強い風味を生かしつつ、さっぱりとまろやかな味わいになり好評という。

 現在は店で提供するだけだが、製造量を増やして商品化し、広く全国に届けたいとの夢を抱く。そのための資金調達へ、クラウドファンディング(CF)を行っている。

 「孫が大藪ミカンを大切に思ってくれてうれしい」と良治さん。ミカンを提供する広畑さんも「規格外品も有効に使ってくれるクラフトコーラは生産者にもありがたい」。

 「おじいちゃんらが努力を重ね、大藪の風土を生かして育てたミカンを未来につなげたい」と聡さん。多くの人にその味を知ってもらうことで、担い手不足解消にもつながればと期待する。

 CFは山陽新聞社や中国銀行が運営する「晴れ!フレ!岡山」を活用。目標額は100万円で3月31日まで。詳細や支援は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/oyabumikan_craftcola)。

(2024年02月16日 19時25分 更新)

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