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地方の人口移動 岡山からの流出止まらず

 岡山県からの人口流出が拡大していることが、総務省のまとめた2023年人口移動報告で明らかになった。

 変動が大きい外国人を除いて、日本人のみの移動を分析した。転出から転入を引いた「転出超過数」は前年より22%増えて4270人となり、過去10年で最多を更新した。都道府県別では12番目に多かった。

 14年の転出超過数は全国39番目の382人だった。約10年で11倍以上に増えたことになる。全国的に人口移動が少なかった新型コロナウイルス禍でも岡山県は流出が止まらず、順位が悪化。コロナ禍が落ち着いて経済活動が活発化した23年は、流出が一層拡大した=グラフ

 広島県の状況はさらに深刻だ。23年の転出超過数は22%増の7396人で、福島県を抜き全国最多の人口流出県となった。コロナ禍の中でも流出が続き、23年にさらに拡大したのは、岡山と同じ傾向だ。山陽エリアの活力低下が懸念される。

 岡山県の転出超過数を年代別に見ると、20~24歳が2247人で最も多く、10代から30代までの流出が目立った。55~74歳の各年代と80~84歳は転入の方が多かった。転出先は東京都1518人、大阪府1159人、兵庫県595人、神奈川県315人などの順で、東京圏と大阪圏が大半を占めた。

 岡山県の人口流出で特徴的なのは、他地域と比べて30代の流出が目立つことだ。30~34歳と35~39歳の転出超過数は計482人で、全国8番目だった。東京、名古屋、大阪の3大都市圏を除く36道県のうち、30代の転出超過数が岡山より多いのは、広島、長崎、静岡県だけである。対照的に長野、滋賀、香川、熊本、宮崎など13県は転入が転出を上回った。

 30代は転職や結婚などに伴う転居があり、20代に次いで人口移動の多い年代となっている。自宅を購入する人もいて、その後の定住につながりやすい。魅力のある雇用を創出するとともに、住みやすい環境づくりを急ぎ、この年代の流出を抑えたい。

 コロナ禍では人口密集のリスクが認識され、全国で地方移住が広がりつつあった。ところが、23年は東京都の転入超過数が72%の大幅増となり、人の動きは一極集中型に逆戻りした。一極集中の是正は、国と地方が危機感を持って取り組まねばならない。

(2024年02月15日 08時00分 更新)

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