山陽新聞デジタル|さんデジ

白十字のワッフル 原点はどら焼き 2枚の生地でカスタード挟む

白十字のワッフル。2枚の生地でカスタードクリームを挟む形は創業以来変わらない
白十字のワッフル。2枚の生地でカスタードクリームを挟む形は創業以来変わらない
 ワッフルと言えば、どんな形を思い浮かべるだろうか? オランダ語で「蜂の巣」を示すとされる語源通り、格子状の生地が特徴のベルギーワッフルもあるが、岡山県民には2枚の生地の間にカスタードクリームを挟んだ「日本風」の方がなじみ深いかもしれない。創業から60年以上作り続ける菓子メーカー・白十字(岡山市南区藤田)は代表格の一つ。形の原点は、どら焼きという。歴史を探った。

 柔らかな楕円(だえん)形の生地を一口かじると、優しい蜂蜜の香りが鼻を抜ける。滑らかでコクのあるカスタードとの相性は抜群。つい「もう一個」と手が伸びてしまいそう。

 ワッフルは1957年の創業当時から販売する看板商品。同市北区表町に1号店を出した創業者の二木寅二さん(故人)がどら焼きに着想を得て、あんこの代わりにカスタードを使おうと考えたのが始まりだった。

 「当時日本でワッフルといえば、1枚の生地を半分に折ってジャムなどを挟む“かしわ餅”形が主流で、2枚でサンドするのは珍しかったようだ」と、販売企画部課長の福島綾子さんが教えてくれた。

 43歳ごろに白十字を誕生させた二木さんは、2度の上京経験があった。10代の頃に菓子店で修業し、30代ではパイとコーヒーの店を4年間営んだ。カスタードを用いたり、生地がふんわり焼き上がるよう卵白と卵黄を分けて泡立てる「別立て」を取り入れたり―。福島さんは「東京で先端技術を学んだのかもしれない」と推測する。

 1号店近くの金物店でワッフルの焼き型を見つけたのも開発のきっかけに。1個ずつ手焼きをし、行列ができるほどの人気だったという。

 徐々に製造が機械化され、販売店も増加。2015年には常温から冷蔵販売に切り替え、個包装とした。手土産やおやつとして長年親しまれ、現在は1日に4千個を作る。焼き型のデザインは3代目となるが、2枚の生地で挟む形は当時のままだ。カスタードがのった生地の上に、生地を重ねる工程は今も手作業で行っている。

 同社は「手に持っただけで幸せな気持ちになれるよう、歴史ある自慢のワッフルをこれからも届け続けたい」としている。

(2024年02月09日 16時20分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ