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若者の献血離れ 早くから意義を伝えたい

 若者の「献血離れ」が続いている。岡山県内で2022年度に献血をした30代以下は2万4763人で、ここ10年で38%減った=グラフ

 1、2月は献血者数が減りやすい冬に合わせ、若年層を中心に献血への協力を呼びかける「はたちの献血」キャンペーンを厚生労働省と日赤が行っている。

 高齢化が進む中、輸血用血液などの安定確保に向けて、若い世代の協力が一層必要となる見込みだ。病気やけがに苦しむ人を救うため、助け合いの精神を大切にしたい。

 献血が可能なのは16~69歳の人(65歳以上は60歳以降に採血を行った人に限る)。献血した血液は輸血のほか、医薬品を作るのに充てられ、がんなどの病気の治療で使われる。輸血の9割近くは50歳以上の治療に使用されており、高齢化に伴い今後、需要は増すとみられている。

 岡山県内の22年度の総献血者数は7万9251人。若者の減少分を40代以上が補っているとはいえ、総数も10年間で1割余り減った。

 若い献血者の減少は岡山県に限らず、全国でも12年度からの10年で3割余り落ち込み、167万人になった。

 岡山県赤十字血液センターによると、要因は少子化の影響が大きい。加えて、新型コロナウイルス禍で移動献血車が高校に出向く学内献血が減ったためもある。

 コロナの5類移行を踏まえ、最近は受け入れる学校が戻ってきているという。ただ、学生の頃に献血を体験しなかった人は、その後も足が向かないとの懸念も拭えない。

 献血者の安定的な確保は国を挙げての課題でもある。政府は昨年6月、経済財政運営の指針「骨太方針」に「献血への理解を深める」の文言を盛り込んだ。

 県赤十字血液センターは献血の意義について、漫画で分かりやすく理解してもらう独自の冊子を作り、高校などに配っている。献血者へのモバイルバッテリーやお守り、ケーキなど若者を意識したプレゼントもしている。「はたちの献血」キャンペーンでは、公募で選ばれた20歳の大学生に一日所長を委嘱し、協力を呼びかけた。

 献血の対象年齢になる前の啓発も大切だろう。小中学生ら早い段階から意義を伝えるよう学校や自治体とも連携してもらいたい。

 感染予防を徹底するなど安全な献血に努め、協力する人の不安を解消しなければならないのは言うまでもない。

(2024年02月06日 08時00分 更新)

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