興福寺前の猿沢池で“敵討ち”⁉ 神戸では超クールな安井仲治展
先日、見応えのある写真展に行ってきました。「生誕120年 安井仲治(なかじ) 僕の大切な写真」展です(12日まで)。場所は神戸市の兵庫県立美術館。安藤忠雄氏の設計で2002年に開館したすごい建物です。
安井仲治(1903ー1942年)は大阪市の裕福な家庭に生まれたアマチュア写真家です。10代の若さで名門写真クラブ「浪華写真倶楽部」の会員になります。初期はピグメント印画と呼ばれる顔料を用いた技法で絵画的な写真を撮っています。1937年にライカを入手してからは、動きのある被写体やスナップが増えていきます。また写真を何枚も重ねるモンタージュ撮影など、リアリズムにとらわれない画像作品も多く手がけています。
特に感心したのが、トリミングの大胆さです。「トリミング イコール 弥縫策(びほうさく)」。プロカメラマンはトリミングするくらいなら、撮影時に寄って撮るべき! そんな反省が多少あるものです。
が、安井氏の写真はすがすがしいくらい大胆なトリミングをしています。粒子が荒れて点描の版画のようになっていますが、被写体自体の力強さは失われるどころか、輝きを増して見えるのです。おまけに「ネガ反転プリント」も多用しています。良いモノにするなら、リアリズムや技量誇示の呪縛にとらわれない! この辺りが、写真を心底楽しむアマチュアリズムの素晴らしさでしょう。
そんな自由闊達(かったつ)な安井氏ですが、リトアニア領事代理・杉原千畝氏の「命のビザ」で神戸に一時滞在していたユダヤ人の撮影もしています。...
安井仲治(1903ー1942年)は大阪市の裕福な家庭に生まれたアマチュア写真家です。10代の若さで名門写真クラブ「浪華写真倶楽部」の会員になります。初期はピグメント印画と呼ばれる顔料を用いた技法で絵画的な写真を撮っています。1937年にライカを入手してからは、動きのある被写体やスナップが増えていきます。また写真を何枚も重ねるモンタージュ撮影など、リアリズムにとらわれない画像作品も多く手がけています。
特に感心したのが、トリミングの大胆さです。「トリミング イコール 弥縫策(びほうさく)」。プロカメラマンはトリミングするくらいなら、撮影時に寄って撮るべき! そんな反省が多少あるものです。
が、安井氏の写真はすがすがしいくらい大胆なトリミングをしています。粒子が荒れて点描の版画のようになっていますが、被写体自体の力強さは失われるどころか、輝きを増して見えるのです。おまけに「ネガ反転プリント」も多用しています。良いモノにするなら、リアリズムや技量誇示の呪縛にとらわれない! この辺りが、写真を心底楽しむアマチュアリズムの素晴らしさでしょう。
そんな自由闊達(かったつ)な安井氏ですが、リトアニア領事代理・杉原千畝氏の「命のビザ」で神戸に一時滞在していたユダヤ人の撮影もしています。...
この記事は会員限定です。
(2024年02月05日 09時53分 更新)