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岡山市坪田譲治文学賞に宮島さん 「成瀬は天下を取りにいく」

宮島未奈さん(新潮社提供)
宮島未奈さん(新潮社提供)
 岡山市は31日、大人と子どもが共有できる優れた作品を対象にした「第39回坪田譲治文学賞」に、作家宮島未奈さん(40)=大津市=の「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)を選んだと発表した。2月23日に岡山芸術創造劇場ハレノワ(岡山市北区表町)で贈呈式がある。

 受賞作は主人公の成瀬あかりが、テレビ中継に映るために閉店を控えた百貨店に毎日通ったり、お笑いコンビを結成して賞レースに挑戦したりと、日々全力でわが道を突き進む物語。常に前向きな姿を生き生きと描いている。

 宮島さんは静岡県富士市出身。2021年、第20回「女による女のためのR―18文学賞」に応募した「ありがとう西武大津店」で大賞などを受け、同作の内容を含む今回の受賞作でデビューした。宮島さんは「慣れ親しんだデパートの閉店を物語に残せないかと考えた。作品がたくさんの人に読み継がれますように」とのコメントを寄せた。

 22年9月から1年間に出版された100作品のうち、予備選考を通過した6点から作家の五木寛之さん、阿川佐和子さんら7人の選考委員が審査した。委員を務めた小説家の森詠さんは「主人公は奇人変人と思われることを意に介さず、信念に基づいて爆走する。積極的でたくましく生きる姿が選考委員たちの心をわしづかみした」と評価した。

 岡山市の大森雅夫市長は定例記者会見で「子どもでもすっと読み進められ、大人は自身の青春時代を思い出す。多くの世代が主人公に共感できる良作だ」と述べた。

 坪田譲治文学賞は岡山市出身の児童文学作家坪田譲治(1890~1982年)の顕彰を目的に市が84年に創設。賞状やメダル、副賞100万円が贈られる。

(2024年01月31日 11時49分 更新)

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