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頻発、激甚化 豪雨対策の在り方は 岡山でシンポ、流域治水推進を

地域防災の在り方などを探ったシンポジウム
地域防災の在り方などを探ったシンポジウム
 頻発化、激甚化する豪雨災害の対策を考えるシンポジウム「気候変動時代の豪雨災害に備える」(公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構、朝日新聞社主催、山陽新聞社共催)が27日、岡山市北区柳町の山陽新聞社さん太ホールで開かれた。岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした2018年7月の西日本豪雨から5年余の歩みを振り返り、減災や地域防災の在り方を探った。

 気象レーダーを使った豪雨・洪水予測に長年携わる京都大防災研究所長の中北英一教授は基調講演で、地球温暖化の影響は既に出ているとし「雨が降る頻度は増し、雨量も多くなる。一刻も早く適応策を講じなければならない」と指摘。行政や住民、企業など河川流域の関係者が協力して被害を軽減させる「流域治水」推進の重要性を指摘し「地域が持つ古くからの知恵を最新の技術で生かすことが必要だ」と呼びかけた。

 パネル討論では、岡山県防災アドバイザーの木村玲欧兵庫県立大教授、豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区の復旧復興を進めた伊東香織市長、市民防災グループ代表で地元で介護事業所を運営する津田由起子さん、取材中に真備町地区の自宅が被災した古川和宏山陽新聞社報道部副部長の4人が登壇した。

 自然環境の変化で災害が頻発化している現状を受け、木村教授は「『わがこと意識』を持って備えを急ぐべきだ」と強調。伊東市長は防災教育や治水対策などの取り組みを紹介し、豪雨の教訓が能登半島地震の被災地支援にも生かされているとした。

 津田さんは早期避難などのために普段から住民同士のつながりをつくる重要性を訴えた。古川副部長は「水害直後は語られなかった体験談や事実が継続的な取材で聞けることもある。現場で得た教訓を踏まえて報道したい」と述べた。

 シンポジウムには市民ら約150人が参加。オンラインでも配信され、約400人が視聴した。

(2024年01月27日 22時10分 更新)

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