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地域再生大賞ブロック賞に2団体 真庭・美甘、移住者や高齢者支援

スーパーで買い物を終えて車に乗り込む「くらしサポート黒田」の買い物ツアー参加者
スーパーで買い物を終えて車に乗り込む「くらしサポート黒田」の買い物ツアー参加者
 山陽新聞社など地方新聞47紙と共同通信が、地域活性化の取り組みを応援する「第14回地域再生大賞~つながる、多様性が拓(ひら)く」の各賞51団体が27日、決まった。大賞(副賞100万円)には「貴志川線の未来を“つくる”会」(和歌山市)が輝いた。廃線の危機にあった地方鉄道の永続に向け、住民主導で利用を呼びかけ、同線の再生を請け負った両備グループ(岡山市)や行政と連携して沿線の魅力アップを図っている。地域を代表する活動に贈るブロック賞(同10万円)には、真庭市美甘地域の空き家再生と移住者、高齢者支援プロジェクト(中国・四国)などが選ばれた。

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 第14回地域再生大賞で中国・四国ブロック賞に選ばれた真庭市美甘地域の住民団体「グランパ美甘」と「くらしサポート黒田」。空き家の再生と移住者支援、高齢者の生活支援プロジェクトなどに連携して取り組み、住民同士で支え合う共助の輪を広げている。

 美甘地域は人口996人で、高齢化率は同市の合併旧町村エリアで最も高い54・8%(1月1日現在)。過疎高齢化や空き家の増加が問題となっている。

 住民11人が2016年に立ち上げた「グランパ美甘」は空き家問題と移住者支援に向き合う。地域の空き家全117軒の状態を把握し再利用の可能性などを評価。家主から清掃や補修などの管理を請け負いつつ、空き家への9件(14人)の移住を実現。困り事相談や住民との橋渡し役など生活支援も手がける。

 翌17年始動の「くらしサポート黒田」(12人)は高齢者の買い物や通院を支援。中心となる月2回の買い物ツアーは8人乗りワゴン車を使い、自宅と同市中心部の商業施設などを直接結ぶ「ドアツードア」方式で150回以上続ける。毎回欠かさない利用者(89)は「外出の良い機会になる。同乗者との会話も楽しい」と感謝する。

 買い物ツアーでお年寄りから空き家情報を聞くとグランパに伝えるなど、両団体は密に連携。他の住民にも理解を求め、地域全体で協力体制を整える。両団体の代表を務める稲田文夫さん(72)は「受賞を励みに取り組みを続け、中山間地域の維持発展に努めたい」と力を込める。

(2024年01月28日 02時00分 更新)

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