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横野和紙 原料を「川ざらし」 津山、ミツマタ洗う

川の水でミツマタを洗う康正さん(左)と裕子さん
川の水でミツマタを洗う康正さん(左)と裕子さん
 岡山県郷土伝統的工芸品「横野和紙(津山箔合紙=はくあいし)」の産地・津山市上横野で22日、原料のミツマタを川で洗う「川ざらし」が今年初めて行われた。毎月1回程度行う作業だが、水温が低い冬場は不純物が少なく最適とされる。洗ったミツマタは機械で細かく砕き、トロロアオイの粘液と混ぜて紙にすく。

 唯一の生産者である県重要無形文化財保持者の和紙職人上田繁男さん(81)方では朝から、長男康正さん(58)と裕子さん(55)夫妻が自宅前の横野川で作業。石灰水で煮て繊維を軟らかくした美作市や美咲町産のミツマタ約40キロを丁寧にもみ洗いして汚れやあくを取り除いた。

 この日は市内の最低気温が2・7度と3月下旬並みの暖かさだったこともあり、康正さんは「作業がしやすかった。使ってくれる人のために良質な紙を作りたい」と話していた。

 横野和紙は江戸時代に生産が始まった。上質で表面が滑らかなため金箔(きんぱく)の保存に利用されるほか、強度や色合いを生かして古文書修復などの用途で輸出もされている。

(2024年01月22日 16時51分 更新)

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