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姫新線 通学や観光に路線維持を 津山で利活用テーマに初シンポ

姫新線の利用促進に向けて意見を交わしたシンポジウム
姫新線の利用促進に向けて意見を交わしたシンポジウム
 存廃問題で揺れるJR姫新線の利活用をテーマにした、岡山県内自治体やJR西日本主催の初のシンポジウムが20日、津山市内で開かれた。小西伸彦・就実大特任教授や沿線の真庭市の太田昇市長、勝山高(同市)生徒ら5人が議論し、通学や観光振興の面から路線を維持すべきだとする意見が相次いだ。

 鉄道遺産に詳しい小西特任教授は、山陽と山陰地方を結ぶ鉄道建設が明治期に計画され、その流れを受けて1936(昭和11)年に姫新線が誕生した経緯を説明。「先人が残してきた貴重な路線。将来にどう残していくかが、われわれの世代の使命だ」と述べた。

 太田市長は、新幹線や大都市などの黒字路線で稼いだ利益で赤字のローカル線を支える「内部補助」の仕組みを使って姫新線を維持すべきだと主張。「国鉄改革の経緯を踏まえると、JR西にはその社会的責任がある」と指摘した。

 全生徒の約半数に当たる約180人が姫新線を通学に利用している勝山高。生徒会長2年の高田一輝さん(17)は「一度に大勢を運べる鉄道は効率が良く、通学に欠かせない」と話し、池田浩規校長は「路線を残すには住民一人一人が積極的に利用するという意識も大切」と語った。

 鉄道ファンの芸能マネジャー、南田裕介さん(49)=東京=は「姫新線は気動車や木造駅舎が残り、味わい深い。豪華列車や観光列車を走らせてはどうか」と提案した。

 姫新線は上月(兵庫県佐用町)―新見(新見市)間が3億8千万~4億5千万円の営業赤字(2020~22年度平均)で、JR西が単独で維持できないとする17路線30区間に含まれている。

 シンポジウムは岡山県が県内27市町村やJR西と立ち上げた協議会が企画し、約200人が聴いた。

(2024年01月20日 20時07分 更新)

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