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俳優三宅さん「見た人を笑顔に」 岡山出身 カナダの映画祭賞候補に

「苦労した分強くなった。見た人を笑顔にできる役者になりたい」と語る三宅さん
「苦労した分強くなった。見た人を笑顔にできる役者になりたい」と語る三宅さん
カナダの映画祭で三宅さんの主演女優賞ノミネートと出演作品を紹介したポスター
カナダの映画祭で三宅さんの主演女優賞ノミネートと出演作品を紹介したポスター
 カナダの映画祭で主演女優賞の候補に挙がるなど注目を集める岡山市出身の俳優がいる。全くの素人だった10年前、所持金8万円で太平洋を渡り、憧れの世界に飛び込んだ三宅エリナさん(31)。「海外で女優になりたい、との思いだけで突き進んできた」日々が実り、サクセスストーリーを描きつつある。

 昨冬、カルガリーインディペンデント映画祭出品の「Creepy Bits(クリーピー ビッツ) ソウルサッカー編」で主演女優賞にノミネートされた。恋人の不審死で疑いをかけられた女性の役。警察の取り調べにいら立つように視線を移したり、泣きわめいたり…。「悲しさや怒りを感じている彼女と一体化していた」という豊かな感情表現で高評価を受けた。

 苦労を強さに変えてきた。表現力や観察力を磨いたのは、カナダのプロも通う演技ワークショップ。渡航直後、英語での指示が分からなかったが、表情やジェスチャーから意図を読み取り、見よう見まねで食らいついた。

 役をつかむため国籍の壁も乗り越えた。俳優組合の決まりで商業映画のキャストは9割がカナダ人でなければならず、組合加盟にも実績が要る。オーディションは落選続き。「同じ土俵に立てない悔しさ」をばねに自主製作作品を中心に出演を重ねた。2年半前に組合加入が認められ、映画やドラマなど活動の場を次々と広げた。

 テレビで偶然目にした映画「ターミネーター2」のアーノルド・シュワルツェネッガーに「全身に電撃が走った」のは9歳の時。映画好きになり、登場人物から勇気をもらううち、人見知りで内気な性格に積極性が芽生えた。

 朝日高卒業後、周囲の反対を押し切り、留学資金をためるため大阪へ。バイトをかけ持ちした過労で体調を崩し、治療費などで貯金を取り崩したのが転機になった。「お金も時間も無駄にした。こんなことで止まるくらいなら行ってしまおう」。2012年、残っていた8万円を手に単身カナダへ渡った。

 「見た人を笑顔にし、自分のような子どもに希望を与える俳優になりたい。大好きな日本のバラエティー番組への出演とシュワちゃんとの共演が目標」。“逆輸入”での活躍も視野に未来を見据える。

(2024年01月06日 19時57分 更新)

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