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PFAS血中濃度 米国指針値超す 吉備中央の住民調査、27人全員

住民の血液検査で高濃度のPFASが検出されたことを説明する小泉昭夫京都大名誉教授(右)ら=岡山県吉備中央町
住民の血液検査で高濃度のPFASが検出されたことを説明する小泉昭夫京都大名誉教授(右)ら=岡山県吉備中央町
 岡山県吉備中央町の円城浄水場(同町上田西)から有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出された問題で、地元の住民グループが20日、住民27人のPFASの血中濃度を独自に調べた結果、健康被害が懸念されるとする米国の指針値を全員が上回ったと発表した。グループは結果を踏まえ、希望する町民全員の血液検査を行うよう山本雅則町長に要望した。

 グループの依頼を受けて検査を行った京都大の小泉昭夫名誉教授(環境衛生学)によると、国内でPFASが検出された他の地域のケースと比べても数値は高く、「急性の健康被害を引き起こす可能性はほぼないが、中長期的に見ればリスクはある」と指摘した。

 検査結果は住民グループ「円城浄水場PFAS問題有志の会」が記者会見して公表した。円城地区の2~80歳(平均年齢49歳)の男性12人、女性15人を対象に実施したところ、PFASの一種である「PFOA(ピーフォア)」の値が高く、全員が米国の指針値(1ミリリットル当たり20ナノグラム=ナノは10億分の1)を上回り、平均で171・2ナノグラムと8倍超に上った。

 同じく住民の血液検査を行った岐阜県各務原市は平均32・2ナノグラム、沖縄県宜野湾市は同33・5ナノグラムで、会見に同席した小泉氏は「世界的に見ても高い値だ。長い期間、高濃度の水道水を飲んでいたことが要因と考えられる」と述べた。

 一方、住民グループの小倉博司代表は同日、今回の検査結果とともに、希望者の血液検査実施を求める要望書を山本町長に提出。山本町長は「住民の思いに沿った対応をしたい」との考えを示した。

 吉備中央町は10月、円城浄水場から2020年度以降、国の暫定目標値を超えるPFASが検出されていたと公表。県は浄水場の水源近くの資材置き場が発生源の可能性が高いとみて調査を進めている。

(2023年12月20日 21時22分 更新)

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